研究課題/領域番号 |
26370595
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
向山 陽子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 研究員 (80619817)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 言語適性 / 適性処遇交互作用 / 言語類型論 / 中国語母語話者 / モンゴル語母語話者 |
研究実績の概要 |
1.言語適性(言語分析能力、音韻的短期記憶、作動記憶)と学習段階との関係を明らかにするため、昨年度の調査対象者から継続してデータを収集した。具体的には、中国、モンゴルの共同研究者の協力を得て、両国の26年度入学生に対し、語彙・文法・聴解・読解テスト、作文テスト、絵描写による発話テストを実施した。 2.調査対象者数を増やすため、中国・モンゴル両国の27年度の新入生に対して、学習開始前に言語適性(言語分析能力、音韻的短期記憶、作動記憶)のテストを実施した。 3.1、2で得られた言語適性に関するデータを数値化した。また、録音した発話データをすべて文字化した。作文データと発話データに関しては、今後さらに詳細に分析して、正確性、流暢性、複雑性について数値データにする予定である。 4.モンゴルの26年度入学生のデータの一部(音韻的短期記憶・作動記憶テストの結果、語彙・文法・聴解・読解テストの結果)を使用して、言語適性と学習成果の関連を分析した。その結果を第二言語習得研究会で発表した。 5.中国の26年度入学生のデータ(言語分析能力・音韻的短期記憶・作動記憶テストの結果、語彙・文法・聴解・読解・作文・発話テストの結果)を分析した。その結果を日本語教育の国際学会で発表する予定になっている。 4、5の分析により、外国語環境における初期の日本語学習には音韻的短期記憶が大きく関与していることが示された。このことから、母語と目標言語の類型論的関係にかかわらず、学習初期にはインプット処理に必要とされる未知の音声を識別し、短期記憶にとどめる能力が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.当初の計画通り、中国とモンゴルの大学において、26年度の入学生、および27年度の新入生から継続的にデータ収集を実施している。 2.2年目の目標であった研究発表を行った。モンゴルで収集したデータを分析した結果を、本研究のテーマと関連する研究会で発表した。また、現在、中国で収集したデータを用いた研究発表を国際学会に応募中である。 3.文献研究を行い、言語適性に関する論文を執筆した。
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今後の研究の推進方策 |
1.27年度入学生の学習成果のデータを引き続き収集する。 2.26年、27年に収集、数値化したデータを様々な観点から分析して、発表、論文化する。 3.言語適性に関する先行研究の購読をさらに進め、展望論文、および概論を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
発話データの文字化、データのチェックについて、協力を依頼できなかったものがあり、謝金として予算を取っていた金額が未使用となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
1.データ収集に関連し、中国、モンゴルの被験者、および研究協力者に謝金を支払う。また、データの文字化、数値化などの作業の補助を依頼する協力者にアルバイト謝金を支払う。 2.最新の研究動向を関する知見を得られる第二言語習得研究に関連する大会の参加費、および参加に際して必要となる旅費などの経費として使用する。 3.文献研究のための書籍、統計処理ソフトを購入する。
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