研究課題/領域番号 |
26370605
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
川口 直巳 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60509149)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外国にルーツを持つ子ども達 / 就学前支援 / ブラジル人学校 / 保育園 / 連携 |
研究実績の概要 |
本研究は、1.外国にルーツを持つ子ども達への就学前支援からの継続したモデルを構築する、2.幼少期から学童期にかけて、大学、保育園、幼稚園、小学校、中学校、ブラジル人学校との連携を進める、という二つの目的達成のために、28年度は主に下記4つの取り組みを実施した。 ①ブラジル人学校C校との交流:26年度と27年度は、愛知教育大学の学生がC校を訪問し、授業見学、教員や児童生徒との交流、日本語の授業の実施などを行ったが、28年度は、C校の児童生徒を愛知教育大学の大学祭に招待する形で行った。大学祭では、ステージ参加(ダンスの披露)や大学祭を愛知教育大学の学生とともに回った。これにより、愛知教育大学の学生とC校児童生徒の両者にいくつかの学びが観察された。 ②学生への勉強会(2種類)の実施:主に幼児教育選修に在籍する学生を対象とした勉強会では、外国にルーツを持つ子ども達の語彙能力の低さを示すデータを紹介した後、実際に保育の場でどのような言葉かけができるかをワークショップで行った。様々な言葉かけを各自が考えることができると想定しての活動であったが、実際に多くのグループで戸惑う様子が観察され、「ことば」という意識を高めるためにもっと基本的で明確な指示を行わなければならないことが分かった。 ③保育園での活動:外国にルーツを持つ子どもが多く在園する保育園で、愛知教育大学の学生がひらがなの活動を行った。実際に学生たちは子どもたちの語彙の低さを目の当たりにし、就学前支援の重要性を感じている様子が観察された。 ④ブラジル調査:27年度から延期されていたブラジル調査では、日本滞在経験のある子ども達に日本語とポルトガル語の語彙調査とインタビュー調査を行った。日本での生活を振り返り、その時の自分を客観的に捉えている様子などが観察できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
27年度に予定していた「帰国児童生徒への縦断調査(ブラジル調査)」が、ブラジルでのジカ熱の流行で、訪問予定だった学校や保育園の年間予定が大きく変更したため、調査を28年の3月に延期した。これにより、当初28年度で終了予定だった研究を1年延期し、29年度までにした。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は、主に下記の計画で研究を推進していく予定である。 ①ブラジル人学校C校との連携:第2回目となるの愛知教育大学の大学祭招待を行い、昨年度の招待時の反省(ステージの見学者が少なかったこと、時間が足りなかった、ブラジル人児童生徒が楽しめるものを事前に把握する)を生かした交流を行う。また、愛知教育大学の学生がC校を訪問し、授業見学、教員や児童生徒との交流、日本語の授業の実施を行う予定である。これらの活動から児童生徒や学生の意識の変化等を観察する予定である。 ②学生への勉強会(2種類)の実施:28年度と同様に幼児教育選修の在籍する生徒対象の勉強会を昨年度の反省を生かして行う予定である。具体的には、学生達にもっと園生活において「ことば」を具体的に意識できる活動を行う予定である。 ③就学前支援キットの作成と提供:これまで行ってきた保育園でのひらがな活動で使用した教材と使用方法をDVDで紹介するものを作成し、近隣の保育園や幼稚園に提供し、保育者対象のアンケートを実施する。 ④連携フォーラムの実施(連携フォーラム):本研究のまとめとして、様々な連携を取り上げたフォーラムを実施する。そこでは、「身近で誰でも行える連携」をテーマとする予定である。本研究のまとめとして、研究成果と課題、展望について第三者の評価者からも意見をいただく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度実施予定としていた「帰国児童生徒への縦断調査(ブラジル調査)が、ブラジルでのジカ熱の流行により、訪問を予定していた学校、保育園の年間予定が大きく変更したため、調査を28年3月に延期した。そのため、研究期間を一年延長することにしたことにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度の主な計画として予定している、「ブラジル人学校との交流」「就学前支援キットの作成」「連携フォーラム」において、人件費・謝金、旅費、物品費に使用予定である。
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