研究課題/領域番号 |
26370607
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大谷 晋也 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (50294137)
|
研究分担者 |
スミス 朋子 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (50402988)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | EPA看護師候補者 / 看護師国家試験 / 語彙データベース / オンライン語彙教材 / 日本語教材開発 |
研究実績の概要 |
基本的な医学術語の多くは漢字熟語から構成されていて、その構成基幹となっている二漢字語の一部が高い造語力を持っているため、学習者がそのような漢字熟語を学ぶことによって学習効率が高まるという研究が存在する。また、別の研究では、専門用語を、科学技術基礎用語・基礎医学系用語・臨床医学系用語・医療現場での接遇表現・医療日本事情等のように有機的にカテゴリー化し、カテゴリー毎に指導する方法の有効性が示されている。 そのような先行研究の検討に加え、官公庁および関連団体が公開したEPA関連の資料・報告書より、EPA看護師候補者の日本語等の研修や、就労現場で用いられている教材・リソースおよび学習・指導方法などに関する情報収集を引き続き行った。 以上と並行して、第95~104回看護師国家試験過去問題に毎年出題される共通短単位語を抽出し、学習の便宜を図るために英語に翻訳するとともに、旧日本語能力試験出題基準に基づき級分けを行った。それらの語を級別に学習セットとしてデータベース化し、オンライン学習ツールQuizlet(Quizlet LLCが提供しているフリー学習ツールhttps://quizlet.com/)を利用して看護師候補者が学習できるように試験公開した。それに加え、例文の中で単語が学べるよう、共通短単位語を含む例文をデータベース化した。さらに、出題頻度2回以上の約5000語について、共通短単位語と同様のデータベースを作成すべく、英語への翻訳作業を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
看護師国家試験過去問題に毎年出題される共通短単位語を抽出し、学習の便宜を図るために英語に翻訳するとともに、旧日本語能力試験出題基準に基づいて級分けを行い、学習セットとしてデータベース化した上で、オンライン学習ツールを利用して看護師候補者が学習できるように試験公開することができた。また、それと並行して、例文の中で単語が学べるよう、共通短単位語を含む例文のデータベース化を行った。さらに、出題頻度2回以上の約5000語について、共通短単位語と同様のデータベースを作成すべく英語への翻訳作業を進め、ほぼ完成しつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、データベースの作成・充実に努めるとともに、どのような教材が効率的な語彙学習に貢献するかを研究し、オンラインベースの教材を開発する。 まず、看護師国家試験に毎年出題される共通短単位語に関して、その使用文脈を踏まえた学習ができるよう、各単位語を含む、実際に試験で使用された例文のデータベースを活用した教材を開発する。その後、その特性を再検討しつつ、造語力の高い二漢字語と、そこから派生する語彙カテゴリーを関連づけて学ぶなど、効率的な学習を可能にするオンライン教材を開発する。そのような語彙カテゴリーを作ることによって、候補者たちが既に持っている看護の専門知識を、出題される漢字語彙と関連付けることもでき、語彙学習を促進する効果が期待できる。また、学習効率の上から、候補者の英語知識を生かすことのできるカタカナ語彙についても、漢字語彙とあわせて教材化することを計画している。 教材開発終了後、日本人看護学生と外国人看護師候補者の双方に実際に使用してもらい、学習の進め方や効果についてのフィードバックを得る予定である。候補者たちの場合、語彙学習の目標は国家試験問題を理解して正解を導くことであり、読解中心の教材とすることが相応しいと考えられる。国家試験(全240問)には状況設定問題が毎年60問出題されるため、可能であれば、語彙や文だけではなく文章形式の読解問題も取り入れる。さらに、語彙学習をより意識できるように、問題文からキーワードを抽出する習慣や、関連語彙を考えだす習慣も身につけられるように工夫する。 フィードバックが得られた後、本研究の締めくくりとして、ブラウザ上で利用するオンライン語彙教材だけではなく、スマートフォンやタブレット端末で利用できるアプリケーションの設計・開発を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者の作業効率がよかったため、謝金を低額に抑えることができた。また、別の用務で出かけた際に本研究のための情報収集や調査を行うことができ、旅費を節約できた。なお、購入を延期してきた物品を調達したため、「次年度使用額」と「前年度未使用額」の差は10万円ほどと、それほど大きくはない。
|
次年度使用額の使用計画 |
可能な範囲で研究協力者の作業時間を増やして研究の進展に努めるとともに、不足が予想されるアプリケーション開発費に充てる予定である。
|
備考 |
試験公開
|