研究課題/領域番号 |
26370619
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
谷 誠司 常葉大学, 外国語学部, 准教授 (80514827)
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研究分担者 |
宮崎 佳典 静岡大学, 情報学部, 教授 (00308701)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 韓国人日本語学習者 / CEFR / 読解 / Can do statements |
研究実績の概要 |
前年度と今年度にかけてCEFR-DIALANG self-assessment statementsにおける読解能力記述文(Can do statements、以下CDS)31個から熟達段階のC1、 C2レベルと、語彙力に関して記述してあるB2レベルの1個を除いた27個のCDSを対象として、韓国内における日本語教育経験のある韓国人・日本人へ1つのCDSに対して1人当たり最大3例文の収集を依頼した。その結果、13名の協力者から約1000文を収集した。 今年度は主に収集した例文から該当するCDSを判定する方法の検討とその検証を行った。CDSの「文章タイプ」、「専門性」、「長さ」の3つの要素に着目し、この3点から例文の特徴量を抽出し、例文に対応するであろうCDSを判定する手法を検討した。また、収集した例文を使って、対応すると思われるCDSを答える予備実験を行ったところ、一つの例文に対応するCDSが一つではなく、複数存在する状況(マルチラベル)の可能性が示唆された。そこで、前年度例文収集に協力してくれた人を含む15人の日本語教育経験者に対して、例文のセットを配布し、その例文が該当すると考えられるCDSを5個以下で複数回答してもらう調査を行った。 提案手法の検証としてはデータから反復的に学習し潜むパターンを見つけ出す機械学習の手法の1つであるSupport-Vector-Machine (SVM)を使用し、前年度収集した例文を三分割しそのうちの一つを検証、残りを学習に利用する3分割交差検定を行った。その結果、提案手法を適用した結果、例文から対応するCDSを判定した場合の正答率が約80%になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画の第2年度でCDSに該当する例文収集と分析を完了する計画であったが、例文収集に予定以上の時間がかかり、第3年度にも追加の例文収集を行い、その後、例文の分析を行った。また、第3年度の当初の計画では、前年度に収集した日本語例文を韓国人日本語学習者に読んでもらい、読んだ内容を韓国語で書いてもらう「韓国語サマリーテスト」を実施する予定であったが、例文の分析と例文から該当するCDSの判定に関する研究を優先するため、行わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は前段階の研究で開発した韓国人日本語学習者用読解能力尺度(α版)にdata drivenな手法で修正・改善を加え、教材開発やテスト開発に利用しやすい改訂版尺度(β版)を開発することである。今年度は最終年度であるので、例文の分析、例文から該当するCDSの判定、韓国人日本語学習者と韓国人日本語教師を対象に実施したCDSの難易度判定調査とわかりやすさ調査の分析などを総合的に検討し、教材開発やテスト開発に利用しやすい改訂版尺度(β版)を最終的に提案する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
例文収集等の海外研究協力者への謝金の支払いがまだすべて完了していないため。
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次年度使用額の使用計画 |
教材開発やテスト開発に利用しやすい改訂版尺度(β版)開発にあって、 研究連携者等とパネルを作る予定であり、また学習者への調査も行う可能性もある。そのための謝金の支出が予定されている。また 学会での発表も計画しており、旅費の支出も予定している。
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