研究課題/領域番号 |
26370627
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
畑江 美佳 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20421357)
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研究分担者 |
石濱 博之 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00223016)
ジェラード マーシェソ 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60403763)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小学校英語教科化 / 英語の文字指導 / フォニックス指導 |
研究実績の概要 |
平成32年全面実施の次期学習指導要領において,小学校高学年の英語が「教科化」される。高学年では週3回程度の英語の授業が始まり,基本的な読み書きなど中学校の学習内容を一部取り入れるとする方針が明らかにされた。また,中学年からは音声を中心とした週1回の外国語活動が始まることとなる。本研究は,小学校英語の教科化を見据え,小学校から中学校へ繋ぐ「文字指導」に焦点を当てた研究である。 鳴門教育大学附属小学校の外国語活動で平成25年度に予備調査として実施したphonemic awareness(音素への気付き)を促す指導の調査結果を,平成26年4月に分析し,その結果から平成26年度の文字指導を含む英語カリキュラムを検討し,年間スケジュールに沿って5,6年生を中心に授業の一部に継続的に文字学習を導入する運びとなった。平成26年5月に児童の外国語活動に対する情意面アンケート及び文字の読み書き能力の事前調査をし,その後,継続的な活動をモニタリングしながら行い,平成27年3月に事後調査を実施した。 平成26年8月9-10日に開催された全国英語教育学会徳島全国大会において,「小学校英語教科化に伴う「文字」指導のあり方と方法-音素への気づき(phonemic awareness)を促す活動の実践研究-」を本研究おける共同研究者であるアメリカ,コロンビア大学ティ-チャーズカレッジの研究員との共同発表を通して,本研究のこれまでの成果を公表した。研究の結果は,児童の英語の「音」への気付きや発話時の発音の矯正がみられ,「文字」を見てそれを正しく「音声化」するためにphonemic awarenessの活動を外国語活動に含めることが可能であることを示唆し,2年次の研究へ向けての次の課題を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
附属小学校での平成25年度の調査結果のデータ分析を平成26年4月に行い,それを踏まえて平成26年度の具体的な文字指導の小・中接続カリキュラムを策定した。そして,そのカリキュラムに沿って,附属小学校高学年で週1回の外国語活動時,授業の前半10分を用いて継続的なphonemic awarenessの指導を行った。 当初は5,6年生での文字指導の実践のみを計画していたが,小学校外国語活動は中学年から開始されることを鑑み,3年生からの文字指導の可能性をも探ることが必要であるとの研究者及び小学校教員との検討を経て,3年生からのアルファベットの指導も含めて4学年の調査をすることとなった。よって,研究計画よりも長いスパンでの文字指導の調査が可能になり,その結果を平成27年4月現在,データ分析を行っている。平成26年度の調査結果を踏まえて,平成27年度の中学校1年生も含めた新カリキュラムを策定する作業も現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,昨年度の研究の結果から,3年生から6年生までのより系統立った年間カリキュラムを検討し,それを中学校1年生での英語の「読み書き」能力に繋げる方法を,附属中学校での実践研究を開始する。また,公立の小学校と中学校の中で,このカリキュラムを実施してもらい,効果の検証をすることにしている。 また,コロンビア大学ティーチャーズカレッジのConsortium for Policy Research in EducaitionのThe Reading and Writing Project との連携を図り,日本の英語教育に取り入れることが可能な読み書きの指導法を模索し,附属小・中での活用を実践することにしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者のアメリカニュージャージー州日本人学校の英語教師ナンシー・ダルコーティボ氏を日本に招聘をするための予算をとっていたが,それが大学の他の経費から捻出できたために,今年度はその分の予算の使用の必要がなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
残額に関しては,平成27年12月に,アメリカコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジのConsortium for Policy Research in Education のco-directorのトム・コーコラン氏の招聘を企画しており,その渡航費として充てることを計画している。
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