平成30年5月には日本中東学会年次大会においてアラビア語教育に関する企画セッションを計画し、大阪大学および東京外国語大学のアラビア語教育研究者とともに研究発表を行った。この研究では、アラビア語学習動機づけについて、アラビア語を学習する大学生を、アラビア語専攻、非アラビア語外国語専攻、非外国語専攻の学生に区分し、比較することで詳しい理解を試みた。 さらにほかの発表では、平成27年と28年に実施したアラビア語集中講座合宿の参加者を対象に、自己決定理論に基づく3つの基本的心理欲求が、講座に参加したことで、高まったかどうかを明らかにした。講座開始前と開始後を比較したところ、これら欲求の満足感が高まったことが確認され、講座に組み入れた内容が今後のアラビア語教育に示唆を与える結果となった。 別の研究発表では、アラビア語学習の契機、文化興味、学習結果の関連についての調査において、契機の違いによる文化興味と学習結果の程度の差が認められなかったこと等が明らかになった。 平成30年10月にはレバノンのアメリカン大学ベイルート校教授のマフムード・バタル氏とテキサス大学オースティン校准教授のクリスティン・ブラスタド氏を招いてアラビア語ティーチングワークショップを東京外国語大学本郷サテライトで実施した。国内でアラビア語教育に携わるアラブ人と日本人あわせて21名の参加を得た。講師2人のエネルギッシュなティーチングの手法を通して、ボキャブラリー育成、読解、コミュニカティブな文法の応用などを学び、日本で教えているアラビア語教育者にとって有益なワークショップとなった。 アラビア語集中講座合宿のために作成したアラビア語単語・例文集の拡充を行い、出版社を探した結果、大修館書店より近く刊行予定となった。アラビア語学習者が語彙力、表現力、コミュニケーション力をつける教材が増えることで、さらにやる気を高めていってほしいと考える。
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