平成29年度は、コミュニカティブ・アプローチに基づく教科書で基礎ドイツ語を学習する大学生の動機づけに関して、平成27年度の前期・後期に実施した大規模な質問紙調査を、両方の調査に参加した学習者1191人を対象とし,教科書のコンセプト評価、「自己決定理論」において動機づけのために重要とみなされている「3つの基本的心理的欲求の充足」などについて、「変化」の観点から分析を行った。この調査結果は、連携研究者によって平成27年度に実施された8人の教師に対する聴き取り調査の分析、および、他の研究者による、同様にコミュニカティブ・アプローチに基づく教科書の使用に関する教師対象の質問紙調査、加えて、そうした教科書を使用する際のカリキュラムに関する実践的研究とともに、日本独文学会研究叢書として公表した。 口頭発表としては、スイス・フライブルクで開催された、ドイツ語教師の国際学会「14.Internationale Tagung der Deutschlehrerinnen und Deutschlehrer」でその研究成果を発表した。 さらに、平成27年度末に実施した21人の学習者への聴き取り調査についても質的な分析を行い、所属大学・センターの紀要に論文として発表した。 こうした研究調査の実施と量的および質的分析過程において、本科研の研究テーマである「ドイツ語学習者の動機づけ」が、彼らの「外国語学習観」と深く結びついていることが明らかになり、その視点からの分析も行った。本科研の研究課題が次の科研の研究課題へと広がった。
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