本研究である『大学と企業における実践的EBP教育の展開と接合』(2014年~2017年)は、大学と企業においてEBP(English for Business Purposes)を効果的かつ有機的に展開するための研究である。その目的を達成するため、グローバル経営を推進する大手の製造会社に着目し、その職場における英語教育に関する定性分析を行った。具体的には、従業員(企業にて国際プロジェクトに携わる社員)、企業(企業にて英語教育案の策定に携わる社員)そして語学教育機関(法人に対して英語研修を提供する語学学校の幹部)に対してインタビューを実施することにより、複眼的な視点からEBPに関する調査を行った。本インタビュー調査を通し、それぞれの被験者(インタビュー対象者)間においてお互いに関連した課題が存在していることが明らかになった。英語を駆使してビジネスにおいて活躍できる人材を育成するには、これらの課題への対策が必要である。そのためには、グローバルな事業展開を進める企業の職場における体系的なニーズ分析の確立と応用が求められ、その分析結果を反映した総合的なEBPを設計・展開することが有効である。さらに、高次での結果を出すには、英語教育機関による専門的な知識(含 ESP)に裏打ちされた顧客ニーズの分析と対応が求められる。また、企業側にはグローバル経営の一環として、社員英語教育を組織的に推進する必要があると言える。企業活動のボーダレス化が進む中、グローバル人材の育成を効果的に推進するためには、大学と企業とのEBP教育における有機的な接合が重要であることが確認できた。
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