本研究者の勤務校では、理工系学生のための語彙集『COCET2600』を用いて、科目を横断した語彙学習に取り組んでいる。瀬川・山本(2016年)では、科目を横断した学習を始めた初年度の実践の効果を、学生の変容という点で検証した。その結果、「単語テストで点数を取るためだけの一時的な記憶学習という一過性の語彙学習から脱却しつつある」、また「何のために語彙を学習するのかという語彙学習の意義を自ら学ぶようになった」など、学生の語彙学習に対する姿勢に変容が見られた。瀬川・山本・岩崎(2017)では、科目を横断した繰り返しの学習が語彙の定着にどの程度寄与するのか、計量的に検証した。その結果、アルファベット7文字以内の比較的短めの語彙に関しては、繰り返しの学習が効果的であることが明らかとなった。瀬川・山本・岩崎・荒木・小澤(2018)では、繰り返し学習の効果が語長の違いにより異なるかどうかを検証した。分析の結果、7文字以内の短い語彙の方が、8文字以上の長い語彙よりも繰り返し学習の効果が大きく表れ、学習負荷が大きい長い語彙ほど学習効果が表れにくいことが示された。
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