研究課題/領域番号 |
26370671
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研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
川名 典人 札幌国際大学, 観光学部, 教授 (50295929)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 英語 / 国際理解教育 / 遠隔授業 / デジタルタブレット / eラーニング / Facetime / iBooksAuthor / 訪問型授業 |
研究実績の概要 |
2014年度にこのプロジェクトを実施するために次のような環境を構築した。1)タブレット端末の導入と設定。2)本学と留寿都中学校間で行う遠隔テレビ授業の設定と確認作業。特に音声や映像の安定した配信を可能にするための調整。3)留寿都の地域観光を素材とした観光英語デジタルテキスト作成のための情報収集。4)活動の情報を収集するためのコミュニティサイトの構築と運用である。 2015年度はこの構築した学習環境を利用して英語教育と国際理解教育を遠隔授業と訪問型授業で行った。遠隔授業では英語の授業時間の一部を利用して1回15分から20分実施した。最初は映像表示や音声の点で問題があったが、設定変更を繰り返す中で最適なレベルで学習できる環境となった。また、事前にテーマを生徒に知らせることで、英語による説明で難しい点はなかった。 訪問型授業では2名の担当教員が14名の生徒を2つのグループに分けて対応したため非常に満足度の高い授業展開となった。テーマは国際理解に絞り、日本との文化や考え方の違いを話したため、生徒の評価が非常に高かった。また、対面型授業であるため質疑応答もスムーズであった。年度末にアンケートによる授業評価を実施したが、訪問型の授業に高い満足度がみられた。 遠隔授業と訪問型授業以外に目標として予定していたeラーニングのようなネットでの学習支援や留寿都の観光素材を利用したタブレット型教材に関しては十分な成果が出ていない。その理由は、1)タブレット端末は授業時間以外に使用していない。2)週末等にタブレット端末を自宅に持ち帰らない。そのため自主的に学習したり発信する作業が不可能となっている。この点を次年度調整したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遠隔授業と訪問型授業に関しては実施した評価は非常に高かった。アンケートでは、国際理解の訪問型授業英語は90%以上が「非常に良かった」という評価であった。外国人講師の英語に対する理解では90%以上が『大変良く理解できた」または、「理解できた」であった。一方、デジタルタブレット端末を利用した遠隔授業では90%が「非常に良かった」または、「良かった」と評価している。しかしながら、授業以外でのタブレット端末を利用した作業に関しては、30%近い人が「あまり使わなかった」または、ほとんど使わなかった」と回答している。その結果、eラーニングコンテンツを用意しても授業以外では利用しないことが予想される。また、観光情報の発信もなされないためデジタル教材も完成していない。 今後当初計画した研究内容達成させるためには、下記の部分を修正して取り組む必要がある。1)デジタルタブレットの利用頻度を多くする。特に授業時間以外の使用を検討する必要がある。もし、この点が改善されればデジタルタブレット端末を利用した自学学習の頻度がアップし、学習コンテンツに必要な素材も充実することが期待される。2)国際理解教育と遠隔授業を定期的におこなう。そのためには英語の授業時間に限定した取り組みを見直す必要がある。例えば昼休みの利用や、放課後の利用が考えられる。これまで対象となるグループは固定されていたが、もう少しフレキシブルに、設定した時間に参加できる生徒は誰でも受講できるような環境に変更する必要があるかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の取り組みは、1)研究成果を集約して、セミナー・研究会、そして関連学会において発表する。2)地域の中学校・地域教育委員会とプロジェクトの総括をする。3)最終報告書の作成となっている。しかしながら、遠隔授業や訪問型授業による英語と国際理解教育では一定の評価を得ているが、当初予定していたデジタル教材とデジタル書籍の作成がまだ完成していない。そのため、留寿都中学校の担当者と再度調整しながら、コンテンツ制作環境を整備し、8月までにデジタル教材を完成させる。内容は国際理解を深めるための教材と英語の習熟度をアップさせるための教材である。英語の教材では聞き取りや動画による英文法の解説を含めたオリジナルの教材にする。完成した教材は専用サーバー上に保管し、ネット環境のある場所からいつでもデジタルタブレット端末にダウンロードできるように設定する。完成した教材は留寿都中学校の後期の授業で利用して学習の優位性や効率を検証する。 デジタル書籍に関しては、留寿都中学校の関係者と協力して留寿都地区の観光と食を紹介する。そのための写真・動画を含む情報共有の仕組みを再調整して2016年度末までに完成させる。 年度末に予定している中学校・地域教育委員会とのプロジェクト総括では3年間の研究成果から今後どのような地域連携が可能かを話し合う。内容は、1)遠隔授業や訪問型授業の継続に関して。2)デジタルタブレット端末を利用した学習手法の可能性にかんしてである。
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