本研究は地域の中学校で英語教育と国際理解支援を効果的に行う教育手法を確立することが目的である。近年通信インフラや発信ツールの飛躍的な向上により地域の教育機関への支援でも、アクティブラーニングを取り入れた効果的な教授方法が可能になっている。本研究では英語教育と国際理解教育を対面型学習と多様な遠隔型学習を行った。2014年は遠隔授業のためのインフラ整備を行った。WiFiを利用したテレビ授業を可能にするための仕組み構築したり、eラーニング等の個別学習を円滑に行うためのタブレット型端末を10台導入し、学習に必要なアプリをインストールした。学習環境を整備した後に、テレビ英会話や国際理解の授業を大学と遠隔地にある中学校で実施した。また、学習者の英語力を測定するために外部の英語レベル確認テストを実施した。2015年度は対面学習や遠隔授業のほかに異文化理解の動画サイトを構築したり、英語のeラーンングコンテンツを作成した。更に学習者や担当者が情報を共有出来るコミュニティサイトも構築し、情報の共有を図った。2016年の最終年度はこれまで2年間実施した教育手法を更に深めるために、担当者が直接LMS (Learning Management System)からeラーニング用の問題を作成するための学習セミナーを開催した。このような学習環境の整備と同時に継続的に英語教育と国際理解教育を実施し、参加した学習者の満足度を図るために、アンケート調査を実施した。 3年間の本研究の成果は、遠隔地にある教育機関でもWiFiを含めたインフラ整備が行われた場所であれば十分都会と遜色ない教育が可能であることが判明した。しかしながら、担当者にデジタルディバイスに対する知識や習熟度が求められることや、共同学習のための時間管理の必要性、そして学習者が使う情報端末の利用頻度を向上させることが必要条件となることも判明した。
|