研究課題/領域番号 |
26370677
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
峯島 道夫 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10512981)
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研究分担者 |
大湊 佳宏 長岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70413755)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 批判的思考力 / クリティカル・シンキング / 評価規準 / 教科書準拠 / パフォーマンス課題 |
研究実績の概要 |
研究2年目(平成27年度)の中心課題は、本調査の核となる「批判的思考力育成のための評価規準の開発」であった。開発において必要なのは、クリティカル・シンキング(以下CT)の構成要素の特定と、それを高校生にも分かるように具体的に記述することであったが、この課題を年度内に終わらせることができた。 開発した評価規準表を「CTスキル早見表」と名付け、批判的思考力を大きく①5つの「心構え」と②15の「対象をより良く理解し評価するためのスキル」に分けた。例えば、①には、「テキストの内容を鵜呑みにせず、絶えず問を発し、問題意識を持って読もう。」(CT1)などがあり、②には、「他の可能性(説明の仕方・理由・判断・解決策・立場・視点・観点等)はないかを考えよう。」(CT9)などが含まれている。 当初の予定では、研究2年目に評価規準を作り、最終年度に授業実践によってその有効性を検証するはずであったが、実際は、研究協力者である高校の先生にお願いし、作成した評価規準をすぐに授業で用いていただき、その結果のフィードバックを受けて、規準表をすぐに修正・改訂した。こちらの方が理に適っており、完成度も高くなることが判明したため、最終年度に予定していた授業による有効性の検証を前倒しし、本年度の評価規準の開発と同時進行で行った。本年度の成果を日本教科教育学会(広島大会:2015年10月)において発表した。 また、同じく研究協力者である、フィンランドのユバスキュラ大学付属中等教育学校であるJyvaskylan normaalikoulu に勤務する teacher trainerのPollari氏を訪れ、これまでの研究について意見交換をし、評価規準表へのご助言を頂いた。さらに、日本から持参した2つのCT教材をフィンランドの学習者に実際に問いてもらい貴重なデータを持ち帰ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、当該年度の研究目標であった批判的思考力評価・伸長のための評価規準の開発が完了したため。授業実践による効果の検証をすでに行っていることを考えれば、予定以上の進展とも言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者であった高校の先生が大学に移られたため、開発中の批判的思考力のための評価規準の有効性の検証のための高校での授業実践が行えなくなってしまった。研究分担者である高専の先生に協力をお願いするか、高校での教材をなんらかの形で大学において利用するか、今後の方策を考える必要がある。ただ高校を替えた場合、使用英語教科書も変わるため、CT発問と評価のためのパフォーマンス課題の新たな開発が必要となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度(H26年度)に研究責任者が夏季に外国に留学していたため、その年の国内の学会出席と、予定していたフィンランドの研究協力者との打ち合わせが叶わず、その分の繰り越し金が生じた。その繰り越し分を今年も完全に使い切ることができず、一部持ち越されたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
これまで研究協力者をお願いしていた高校の先生が大学に移ったため、新たに研究分担者になっていただいた(現在、手続き中)。それに伴い、研究の進行に必要な環境を整えるための機器等の購入が必要になったり、学会発表等のための旅費が新たに発生すると思われる。
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