研究課題/領域番号 |
26370678
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
有富 智世 常葉大学, 経営学部, 教授 (20410524)
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研究分担者 |
喜久川 功 常葉大学, 環境学部, 准教授 (10440611)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 外国語教育 / 初修外国語 / 第二外国語 / フランス語 / デジタル教材 / eポートフォリオ / 学習支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、先行研究の第二言語教育(初修フランス語教育)のための語学学習支援システム(eポートフォリオを搭載したデジタル教材)を発展させ、多様な使い手のニーズに対応した「フランス語文法基礎完成」を支援する汎用性の高いデジタル教材を実現化することである。本研究の目的から平成27年度は以下のように研究を遂行した。 1.フランス各地での追加取材調査の実施:歴史や多彩な文化事項等の涵養と語学学習の一体化の実現を目指したデジタル教材開発のため、平成27年8月13日~8月25日の期間に渡仏した。前年度も現地取材を実施し、当初の計画通りにデータを取得できたのだが、実際に教材化を図ったところ、データ追加の必要性が明らかとなった。本研究課題の要とも言える「世界遺産」等に纏わるデータ収集を完了できたことは、今後の研究遂行において望ましい結果を得たと見なしている。 2.平成27年度実施したフランス現地取材調査で取得したデータを「資料」と「写真と動画」のコンテンツ用に整理した。平成28年度の教材化実現に向けてデータ処理を行ったが、当初の想定通り作業工程に多大な時間を要するため、今後も継続して対応していく。 3.教材内容の精査:文法応用範囲を12課構成に整理し、各課の文法学習に絡めて世界遺産関係の文化事項の割り当てと内容精査を行った。さらに、「フランス語文法基礎完成」に対応する教材では、「講読」部分の学習も強化することとし、文化的学習に繋がる講読問題のあり方を検討した。その結果、概ね教材内容の基盤を固めることができた。これに加え、文法練習問題の内容整理も継続して行っていく。 4.「演習用教材」の検討と開発:デジタル教材内における「文法」・「語彙・表現」と「文化事項」の学習が繋がりを成すよう図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的であるフランス語文法の基礎を網羅した汎用性の高いフランス語学習支援デジタル教材の開発においては、先行研究における開発過程の経験を踏まえて研究計画を立案している。平成27年度は、「学習コンテンツ」のための文法事項の確認、文法練習問題の想定、語彙と表現の枠組み、動詞活用の提示の仕方等をほぼ確定することができた。また、フランス各地での追加取材調査を実施したことから、教材実現化のためのデータ収集を完了させることができた。今後の研究遂行において望ましい状況にあると見なしている。 前年度に引き続き、フランス現地にて取得したデータは、「資料」と「写真と動画」のコンテンツ用に編纂し、演習教材でも活用できるよう分類と精査を行った。当初の想定通り作業工程に多大な時間を要するため、各コンテンツ等に対応させたデータ処理を今後も継続して行う。 さらに、「フランス語文法基礎完成」のデジタル教材完成に向けて、文法学習と文化等の学びが繋がりを成すよう教材の構成案を確定し、概ね教材内容の基盤を固めることができた。今後の文法練習問題のコンテンツ内容確定にも繋げていけるものと考えている。 eポートフォリオのあり方についても学習サイクルとの連関、各課テストとの連動、「演習教材」との兼ね合いなど、教材制作と同時進行で検討している。試作と運用から課題を明確化し、改善を図る。 「演習用教材」の検討と開発では、デジタル教材内における「文法」・「語彙・表現」と「文化事項」の学習が関連するよう図るなど、現在までの達成度としては、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、次の①~⑨を順次進める。①平成27年度「アンケート調査」結果から改善改良すべき問題を精査し対応する。②授業実践からフランス語運用能力を高め得る「演習教材」を確定する。③フランス語学習応用レベルに対応し、かつ文化的教養的学習教材も含む「学習コンテンツ」を確定する。④本教材とeポートフォリオ機能の連動について授業実践から検証し改善を図る。⑤スマートフォン上でのデジタル教材の動作等について最終チェックを行う。⑥教材制作における最終工程で、必要なフランス語音声等の補充に関しては、ネイティブスピーカーの協力を得る。⑦平成28年度「アンケート調査」を実施する。⑧平成28年度末、開発した「デジタル教材」の完全公開を行う。⑨研究成果の総括として、学会等で報告を行い、研究報告書を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行のための柔軟な対応をした結果、平成27年度に予定した物品費・旅費・人件費等の金額を変更して使用することとした。その結果、次年度使用額が発生した。 理由①:平成26年度に研究課題であるデジタル教材開発に必要な現地資料収集で渡仏したが、平成27年度にさらに追加の資料が必要となったため、平成27年8月13日から25日の間、フランス現地にて資料収集を行った(旅費として計上していた予定金額を超えた)。理由②:デジタル教材の検証に必要な情報機器等の購入を行ったが、当初想定していた予算を上回った。理由③:アルバイト等の支出として人件費を計上していたが、上記①②に関する必要経費を優先し、研究代表者と研究分担者の実働を増やして対応した。 上記、①~③の理由により、結果として次年度使用額が発生した次第である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度において必要となる人件費・謝金ならびに研究成果報告書の制作費において、不足分の発生を見越し充当して使用する。
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