研究実績の概要 |
小学6年生の英語学習で「音+絵+文字無」(以後「文字無」),「音+絵+文字有」(以後「文字有」),「音+絵+文字なぞり」(以後「なぞり」)の脳血流変化を調べた。その結果,(1)学習中の聴覚野, ウェルニッケ野, ブローカ野を含む左脳・右脳両側頭部のoxyHB血流量は両半球間で有意差がなく, 英語の音を聞いている時, 右脳も活性した。 (2)学習後の単語記憶テストの成績は,「文字有」「なぞり」「文字無」の順であった。これらの結果から,小学6年の後半では「文字無」より「文字有」のほうが記憶を強化し,「文字有」の学習は慣れているので「なぞり」より脳活動は節約されたのかもしれない。 次に、小学3,4、6年生の日本語と英語語彙学習中の脳血流の変化を①~⑲について調べた:①リズムを聴く,②音を聴く,③日本語を聴く,④日本語を復唱する,⑤既修英語を聴く,⑥既修英語を復唱する,⑦未修英語を聴く,⑧「未修英語+音」を復唱する,⑨「未修英語+音+絵」を復唱する,⑩直線をなぞる,⑪ひらがなをなぞる,⑫日本語単語をなぞる,⑬日本文をなぞる,⑭アルファベットをなぞる,⑮既修英単語をなぞる,⑯未修英単語をなぞる,⑰未修英単語+音をなぞる,⑱未修英単語+音+絵をなぞる,⑲英文をなぞる。その結果、リズムに関しては(①,②)、両半球ともあまり賦活しなかったが,日本語と英語のリスニングと復唱時(③,④,⑤,⑥,⑦,⑧,⑨)に両半球のブローカ野と聴覚野付近で賦活がみられた(図1)。「なぞり」(⑩,⑪,⑫,⑬,⑭,⑮,⑯,⑰,⑱,⑲)では既習英単語の「なぞり」遂行時で両半球で大きく賦活したが,未修英単語の「音無」,「音有」,「音絵有」の課題遂行中では「音絵有」の賦活量が減っていた。これらの結果から,絵が単語の意味理解を助け、脳活動の負担を軽減したと考えられる。 以上の結果から、学年に応じた英語教材を提案する。
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