研究課題/領域番号 |
26370686
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研究機関 | 山形県立米沢女子短期大学 |
研究代表者 |
北山 長貴 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 教授 (00214825)
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研究分担者 |
馬場 景子 日本福祉大学, その他部局等, その他 (80424943)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際情報交流(米国) |
研究実績の概要 |
本研究は視覚障害児童のための特別支援学校教育における外国語活動での工学機器と触図の活用による学習指導方法の提示と学習プログラムの構築である。特に、本研究は「視覚障害児童の外国語活動における二次元ドットコードの活用と触図教材開発の研究」(平成23年度基盤研究(C))の継続研究である。 特別支援教育では、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築が推進され、今後はこれまでの取り組みを踏まえた「日本型インクルーシブ教育」が提言されるところである。教育現場においては障害種に応じた教材の開発、情報機器の整備と活用が求められているが、特に視覚障害児童には音声教材の整備充実が必要である。平成23年度に必修科目となった小学校外国語活動の教材「英語ノート」は平成24年度からは「Hi, friends!」に変更となった。本研究は、これまでの二次元コードと触図を活用した学習プログラムの研究成果を応用し、「Hi, friends!」に対応した新コンテンツの学習指導モデルの構築を、支援機器の汎用性とアクセシビリティの保障を視野に入れ、行うことにある。 平成26年度の研究実績の概要と研究課題はこれまでの研究成果を踏まえ以下の枠組みとなる(1)特別支援学校における外国語活動の実態に関しては特に「英語ノート」から改訂された「Hi, friends!」の指導内容を把握し、障害種の実態にあった指導方法と言語教材を精選し、障害者一人一人に必要な援助を模索した。(2)音声教材としての二次元ドットコードによるコード読み取り機器に入力する情報を汎用性とアクセシビリティという観点も考慮しその作成を試みた。言語教材については構造化の観点から触図教材を作成した。そして、小学5年生用の教材「Hi, friends!1」の内容に準拠した音声ペン対応「Hello English」を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本型インクルーシブ教育に向け視覚障害児童への音声教材の整備充実を図るために、障害種に合った教材の提供であるが、本研究の課題である必修科目の小学校英語は健常児童への指導研究は行われてはいるが特別支援学校までには至っていない。本研究の遂行が視覚障害児童に健常児と同等の教育機会を与えることを可能にする。そのために、補助教材としての工学機器と触図教材の活用で晴眼者と同等の教育情報が保障されることである。このために以下の研究計画を採用した。 (1)資料収集・分析、科研費等の先行研究の整理、プレテスト、分析・検討の枠組みの設定:① 実証調査実施のための情報収集と実態調査、② 先行研究の検討と研究実行計画の立案、③ プレテスト実施のための情報収集と調整、及び調査依頼、④ プレテストの実施に対する検討会での意見交換 (2)本調査計画の立案作成をめざしての基本会議、研究会の開催:① 検討会議:年3回 参加者3名、② 実証調査研究デザインの構築;ⅰ 先行研究の分析に基づく実証調査内容の検討、ⅱ プレ調査活動の実施:国内、国外でのヒアリング・資料収集、国内調査地:先行研究のある協力施設、国外印刷障害者への教材等の標準規格化の視察(米国)、③ データに基づく研究検討会の開催:ⅰ 調査に対する意見交換と調査協力依頼 ⅱ 実証調査における着眼点の特定 (3)プレ調査データからの予想される調査内容項目の精選、① 音声デバイス用入力データの選定、触図シートの作成、音声ペンの設定方法、② 教材活用の成果、学習指導への応用、活動の様子。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として平成27年度は日本型インクルーシブ教育の構築に向けた提言をまとめるための研究内容は以下の3点となる。 (1)学習プログラムのモデル作成を目標にした実証調査の準備:①実証調査の実施、②調査結果の分析、フィードバック、評価、③ 学習プログラムの試作 (2)プレテストに基づく実証調査の実施:調査結果に関して以下の手順と項目について分析、フィードバック、評価を行い学習プログラムの作成に取り組む。①研究調査打ち合わせ、②実証調査の調整作業:調査対象者の抽出のための打ち合わせと依頼等の調整作業、③調査結果に基づく研究検討会の開催:年2回、④調査実施予定時期:平成27年11月上旬~12月上旬 (3)学習プログラムの作成・評価・報告:本調査で得られるデータから以下の点に着目して分析を行う。また、事例考察結果についての成果報告から助言を得ながら言語教材と操作性についての向上に取り組む。①調査内容を晴眼者の授業と比較してその差異の確認、②担当教員、専門家の協働による諸問題の解決と提案、③実証実験および観察の分析結果をもとにプログラムの作成のための要因分析と検証;ⅰ音声デバイス操作に対する関係要因の比較分析、ⅱ音声デバイスの操作方法の質的アンケートによるフィードバック、ⅲ触図の試行と音声デバイスの設定、ⅳ音声デバイスの操作性の検証、④評価;ⅰ触図の試行についての評価、ⅱ触図と音声デバイスの有効性の評価、ⅲ活動の様子、教材活用の成果、システムの汎用性の評価、iv参加観察法による操作性についての評価、⑤成果報告;ⅰ指導事例の提示、ⅱ簡単な報告書を作成し調査協力関係機関へ配布、ⅲ具体的な提案を含む結果報告を通じて被験者への結果還元、ⅳシンポジウムの開催(プライバシーの保護には細心の注意を払う)
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