研究課題/領域番号 |
26370692
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
小林 葉子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (00352534)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ネイティブ・ノンネイティブ英語 / 国際語・リンガフランカとしての英語 / 準英語圏アセアン諸国 / 留学動機 / 日本人学生の発言への消極性 |
研究実績の概要 |
平成28年度はまず、昨年度マレーシアの大学付属ESLセンター等の所属教員に対して実施したアンケート調査、インタビュー調査及びフィールドワークから得られたデータを分析した。具体的には、ASEAN諸国における正規英語環境の優位性の前提として「英語ネイティブ話者の不在」と「リンガフランカとしての英語使用」などを挙げるKirkpatrick(2014)の‘lingua franca approach’原則が、本調査現場にどの程度当てはまるのか・当てはまらないのか、という点に焦点を当て、分析を行った。その結果、研究代表者の調査と‘lingua franca approach’原則との間には合致する点とそうでない点があることが明らかになった。たとえば、Kirkpatrick(2014)の前提とは異なり、マレーシアの大学付属ESLセンター等ではいまだに「『標準イギリス英語』支持派の影響力」が強く、英語ネイティブ信仰からの脱却が出来ていないことが明らかになった。この分析結果をふまえ、‘lingua franca approach’原則等の従来研究では見落とされてきた「(英語ノンネイティブ留学生や大学入学準備向けの)非正規の英語教育現場」、「準英語圏ASEAN諸国への英語留学動機」、「現地教師のプロ意識と葛藤」などの視点をふまえ、‘lingua franca approach’原則の修正案と今後の研究展望を示した。
これらの結果を論文としてまとめ、国際ジャーナルへ投稿し、最終的に採択された。さらに平成29年度に開催される二つの国際学会への発表プロポーザル(それぞれ個人・共同発表)を執筆・応募し、いずれも採択された。
また、昨年度に引き続き、文献調査を継続実施しつつ、「留学フェア」などに赴き、東南アジアでの英語研修に関する情報収集を行った。その際、昨年度に実施したマレーシア現地調査でご協力頂いた関係者と再会することが出来、現地の最新情報収集を行った。こうした文献調査成果を国内学会研究大会にて共同発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来ならば昨年度(平成27年度)に実施した調査の追跡・比較調査を行う予定であったが、昨年度の調査の成果を論文にまとめ・修正することに時間がかかってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に研究計画に基づき、平成27年度に予定していた研究調査を含めて研究を推進していく予定である。具体的には、調査成果を論文にまとめ・修正していく際に他の研究者より頂いた助言やアドバイスを踏まえた上で、学会発表・研究調査の準備を継続していく。加えて、二つの国際学会にてそれぞれ単独と共同にて発表をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に実施を予定していた海外調査を、29年度に実施することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
(1) 当該年度に実施を予定していた海外調査実施;(2)これまでの調査成果を踏まえた共同研究を念頭に、国内外研究者との意見交換;(3)研究成果の論文執筆・ジャーナルへの投稿;(4)二つの国際学会での単独・共同発表(確定)
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