本研究の目的は、日本国内で実施するEnglish Camp事業を通じて、日本人大学生と中学生のグローバル人材(G人材)基礎力のうちどの能力がどの程度育成されるかを実証的に検証することである。英語母語話者との接触を好む日本の風潮を鑑み、英語非母語話者との接触と比較して有意な差が見られるかどうかを検証するため、最終年度では英語母語話者留学生と日本人大学生で実施するEnglish Camp(EC)と英語非母語話者を含む多様な言語背景を持つ留学生と日本人大学生で実施するGlobal English Camp(GEC)で、日本人大学生のG人材基礎力に関わる変容とそれぞれの事業に参加した中学生のコミュニケーション意欲などの変容について、その質を比較分析した。 研究期間を通算してECに87名、GECに38名の中学生が参加し、日本人大学生はECとGECにそれぞれ延べ人数で58名と23名が参加した。比較対象のために、同じ中学校の生徒でこのプログラムに参加しなかった3年生530名および県内の高校生234名にも外国人とのコンタクト経験の有無やG人材基礎力に関連した意識についてのアンケート調査を実施した。調査した一般中学生では「英語によるコミュニケーションが楽しい」と強く思うと回答した生徒は23%であるが、ECとGEC参加者の事前調査ではそれぞれ67%と76%であり、事後調査では87%と92%に向上していた。コミュニケーション意欲や英語学習意欲などが両方で向上しており、ECとGECにおいて有意差は見られなかった。参加大学生でも英語学習意欲の向上とともに積極性やコミュニケーション意欲の向上がECとGEC両方に見られた。 これらの調査データを分析した結果、コミュニケーション意欲、積極性等の醸成には英語母語話者に拘る必要はなく、この様な取組が参加学生・生徒のG人材基礎力向上に資することが検証された。
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