研究課題/領域番号 |
26370695
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
伊達 正起 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (30259858)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 言語形式に関する知識の手続き化 / タスク繰り返し / 流暢さ / 正確さ / タスク練習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的の1つは、学習者が同じタスクを繰り返す練習をすることで言語形式に関する知識の手続き化が促進され、その結果、練習後のタスク遂行時における流暢さと正確さが練習前に比べて向上するのかという点について調べることである。当初の計画通り、日本人大学生を3グループ(練習時に同じタスクを2回繰り返すグループ1、練習時に異なるタスクを2回遂行するグループ2、練習のないグループ3)に分け、物語タスクを使った実験を行った。そして、ポストテストとして与えた2種類の物語タスク(新しいタスクと同じタスク)におけるパフォーマンスを、流暢さと正確さの点より測定した。分析結果から、タスクを繰り返す練習により言語形式に関する知識の手続き化が促進されたことがわかり、次の2点も明らかになった:(1)ポストテスト時に同じタスクを遂行した際の流暢さと正確さは向上したが、新しいタスクを遂行した際には流暢さと正確さは向上しなかった;(2)グループ1に関して、グループ2との差は同じタスクを遂行した際の正確さに見られ、グループ3との差は同じタスク遂行時の流暢さと正確さ及び新しいタスク遂行時の正確さに見られた。こうした研究結果より、さらに以下の2点が示唆できる:(1)タスクを繰り返す練習が必ずしも異なるタスクをそれぞれ1回ずつ練習するよりも有効であるとは限らず、練習そのものが大切である可能性がある;(2)タスクを繰り返す練習を続けることで、同じタスクを遂行する際の正しい宣言的知識の使用がさらに促進され、その結果、同じタスクを遂行する時の言語形式に関する知識の手続き化が促進されたり、新しいタスクを遂行する時の正しい宣言的知識の使用や言語形式に関する知識の手続き化が促進される可能性もある。本研究で得られた結果と示唆は、タスク繰り返しに関する先行研究では指摘されていないものであり、その点で重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度計画としてあげていたもう1つの調査(「異なる形態で与える形式指導の妥当性に関するパイロット・スタディーを行う」)を実施することができた。それにより、27年度の研究に使用できる形式指導に関する準備をすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
練習時に与える形式指導の形態について調べる。指導の形態として、2種類ある。1つは、学習者一人一人が犯したエラーに対して、教師がその場で一人一人にフィードバックを与えるというもの。もう1つは、文章内にあるエラー形式を検索修正するという決まった時間内に学習者全員に同じ形式指導を与えるというもの。どちらの指導形態をタスク繰り返しと繰り返すことで、正確さと流暢さの向上に結びつくのか調べていく。
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