英会話クラスを履修する大学生を参加者とした。物語タスクを使いながら、2つの実験群に対して同じタスクを2回行うセッションを毎週1回計4回与えた。さらに、実験群の1つには各セッションにおいて1回目のタスク後に形式指導を施し、もう1つの実験群には1回目のタスク前に形式指導を施した。形式指導時には、参加者全員にタブレットPCを1台与え同じ指導を行った(参加者はまず、事前に用意された画面上のエラー形式を含んだ文章に対しエラー修正を行い、その後自身の修正を画面上に表示されるメタ言語的説明を伴ったフィードバックを使いながら確認し理解する)。一方、統制群にはセッションを与えなかった。実験群は最後のセッションから1週間後に事後テストとして最初のセッション時に行ったタスク(事前テスト)と同じタスクを遂行し、統制群も同様に事前テストから4週間後に事後テストを行った。3つのグループにおけるタスク遂行時の流暢さと目標形式(冠詞と動詞)の正確さの変化について調べた結果、次の4点がわかった。
(1)2つの実験群のみが、事前テストに比べて事後テストにおける流暢さが向上していた。(2)事後テストにおいて、実験群1(1回目のタスク後に形式指導を受ける)は実験群2(1回目のタスク前に形式指導を受ける)に比べてより流暢さであった。(3)事後テストにおける目標形式の正確さは、2つの実験群の方が統制群よりも上であった。(4)実験群2のみが事前テストに比べて事後テストにおける正確さが向上していた。
こうした結果から、形式指導を伴いながらタスクを繰り返す練習が言語知識の手続き化を促進し正確さを向上させるうえで有効である点と、形式指導のタイミングが異なる効果をもたらす可能性がある点が判明した。
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