研究課題/領域番号 |
26370696
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
笠井 千勢 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (90352450)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / Bilingual cognition |
研究実績の概要 |
本研究は、第二言語を習得することで学習者の内面に起こる認知変化を調査することを目的とし、最終的にはその変化を脳画像を用いて測定することを目指している。前年度には、実験刺激の信頼度高めることに専念し心理実験を確立した。今年度はその心理実験を用いて第二言語として英語を習得した日本人被験者を対象に心理実験を行った。実験刺激にNavon Task (1970)を使用し、被験者がLocal-Globalに注意を向けるexecutive Controlを調査することで認知変化を測定した。Navon Taskは、様々な分野で使用されている。第二言語習得の分野ではBialystokその他(2011)が使用し、カナダ在住のバイリンガル話者を対象に調査を行っている。
Navon task は、Navonが提唱する注意の方向性を利用した実験である。ヒトがものを見た瞬間、まず注意を向けるのは、そのものの全体像であり、細部の詳細に注意が向けられるのはその後であるという仮説である。本実験では、本来「全体像を見たい」と感じる欲求を抑制するExecutive controlが、英語力が異なる被験者間で異なる傾向を示すか調査した。
被験者の英語力を測定するにあたり、Versant English Testを用い、Speaking abilityを含む英語力を測定した。しかしながら、当初予定していた高い英語力を保持する被験者を検出することが難しく、十分な被験者数を獲得することができなかった。従来の英語力測定テストで検出が難しかったSpeaking力が測定に含まれたためと推察される。今後は、すでに収集した低い被験者数に見合う数の被験者を獲得することに専念し研究を遂行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた心理実験において、英語力が高い被験者を統計検定がかけられるのに充分な数を集めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記で述べた不足分の被験者を獲得して実験を進める予定である。期間を設定して被験者を獲得する予定であるが、その期間内に収集できなかった場合は被験者グループを総入れ替えすることも考慮している。今回獲得が困難な被験者グループは「英語力が高い日本人被験者」である。つまりは第二言語能力が高い被験者であり、このグループを日本人ではなく、日本で日本語を学習、習得する外国人に置き換えることで、高い第二言語能力を持つ被験者を獲得できる。現実にすでに日本国内に在住する留学生を中心に募集することで調査を勧めることが可能である。これらの選択肢も用意しながら調査を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入をするには半端な金額が残ってしまったため次年度に効果的に使用できるよう繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入、謝金の支払い等に使用する。
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