研究課題/領域番号 |
26370700
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
吉村 紀子 静岡県立大学, その他部局等, その他 (90129891)
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研究分担者 |
近藤 隆子 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60448701)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 応答ストラテジー / 虚辞代名詞主語 / 英語母語話者 / 中国語母語話者 / 母語の転移 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語あるいは英語を母語とする第二言語学習者による応答ストラテジーの習得について、統語-談話のインターフェイスの観点から「省略分裂文現象」を考察し、習得上の問題点の克服に明示的な指導が役立つかどうかを検証することにある。 平成27年度は、次の2つの目的を目指して研究を進めた―(1)日本人英語学習者を対象に平成26年度に行なった実験と指導の結果を分析して、その結果を国際学会で発表し論文にまとめる、(2)日本語非母語者による日本語応答ストラテジーの習得過程について実証データを収集し、虚辞代名詞主語に着目して分析する。(1)については、7月にエジンバラ大学で開催された第11回BAAL(British Association for Applied Linguistics)で発表した上で、参加者からのコメントも考慮に入れつつ、その内容を論文にまとめて紀要Journal of International Relations and Comparative Culture Vol.14に発表した。(2)については、10月にブリティッシュコロンビア大学(カナダ)を訪問し、第二言語として日本語を学ぶ英語母語話者と中国語母語話者の大学生を対象に現地調査を実行した。その調査結果は、その詳細は現在分析しているところであるが、ここまでの観察では、次のような特徴が見られた―(3)母語が英語あるいは中国語に関係なく、省略疑問文が多く使用されている、(4)虚辞代名詞主語の使用が比較的定着している、(5)英語からの転移がほとんど見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、日本人英語学習者に見られる英語応答ストラテジーの特徴について、昨年度の実験の分析結果を論文にまとめて発表したことが挙げられる。次に、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)から実験の許可を得ることができたので、日本語教師、研究者、学生たちから多大な協力を得た上で、日本語非母語話者による日本語応答ストラテジーの習得について調査が実施できたことが挙げられる。加えて、実験に参加した被験者の中に英語母語話者のみならず中国語母語話者を加えることができたので、データを母語の転移から分析する時に役立つ資料を収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、教室での指導効果も考慮に入れながら、27年度後半に収集した日本語非母語話者による日本語応答ストラテジーの発話資料を分析し、、その結果を国際学会で発表し、論文にまとめる。また、今年度が本プロジェクトの最終年度という点を踏まえ、26年度の英語応答ストラテジーの結果と27年度の日本語応答ストラテジーの結果を比較対照して、非母語話者による応答ストラテジーの第二言語習得過程の本質解明を目指す。省略分裂文と疑似代名詞主語の第二言語習得について総括する。
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