研究課題
本研究の目的は以下の4点である。① 中学修了生の英文法の習熟度を調査し、その実態を客観的に明らかにすること。②なぜそのような難易を示すのか、言語理論、第二言語習得研究からの成果を基に説明すること。③明らかにされた各英文法の難易度が、どのような外的要因(例:使用した教科書の相違、文法項目の出現頻度・導入順序、教室での指導方法の相違等)によって影響を受けているのか、または受けていないのか調査すること。④本研究成果を口頭発表や出版物を通し広く公表することで、日本の英語教育、特に中学校での英語教授法改良のためのヒントにすることである。平成26年度は調査項目として、「動詞の下位範疇化(SVO, SVC, SVOO, SVOC)」及び前置詞をターゲットとしたが、主として「項構造(argument structure)」の習熟度を調査した。併せて、「項の省略」についても調査した。具体的には、目的の①②を中心に行った研究は、白畑・近藤(2015)およびKondo & Shirahata (2015)にて報告しているが、動詞の種類によって項を取るか否かの判断に差があることが分かった。言い換えれば、動詞によって難易度が異なることが判明した。その要因として、動詞のanimacyが影響を与えている可能性がある。一方、目的③においては、項構造の習得には、どのような外的要因がかかわっているのかを調べるために、発話された英語および日本語にそれぞれにおいて、どの程度、文(sentence)として発話されているか、つまり、どの程度、項構造が省略されずに発話されているか、ニュース、ナレーション、インタビュー対話、日常会話などからデータを収集した。結果は、平成27年度中に発表行っていく予定である。なお、もう一つのターゲットである前置詞に関しては、平成26年度中にデータ収集のために実験方法について検討した。
2: おおむね順調に進展している
4つの目的および計画にそって実験、データ分析を進めることができている。
特にデータを取りにくい文法項目などに関して、慎重に実験方法を検討する必要があるため、場合によっては、臨機応変に計画していた文法項目の順番の入れ替えなども検討していく必要があるかもしれない。いずれにしても最終的には目的を達成する予定である。
平成26年度の研究の一部は、研究データ収集とその分析を行ったため、平成27年度に入ってから、それらの成果を発表するための国内外学会出張費に使用する。
平成27年度は、前年度の複数の研究成果を発表するため、国内外学会出張費に使用する予定である。また実験項目および方法によっては、データ収集のための旅費および必要な文献等に多くの経費が必要となるため、適正に前年度の経費を使用していく予定である。
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中部地区英語教育学会紀要
巻: 第44号 ページ: 57-64
Studies in English Language and Literature
巻: Vol. 35 ページ: 57-69
ARELE (Annual Review of English Language Education)
巻: Vol.26 ページ: 93-108