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2015 年度 実施状況報告書

英文読解における語彙力の涵養と語彙習得指導の実践:未知語に関する推論の力の活用

研究課題

研究課題/領域番号 26370708
研究機関津田塾大学

研究代表者

田近 裕子  津田塾大学, 学芸学部, 教授 (80188268)

研究分担者 村杉 恵子 (斎藤恵子)  南山大学, 外国語学部, 教授 (00239518)
豊嶋 朗子  国際教養大学, 公私立大学の部局等, 助教 (20527717)
奥脇 奈津美  都留文科大学, 文学部, 准教授 (60363884)
野田 小枝子  津田塾大学, 学芸学部, 教授 (60408474)
齊藤 涼子  白百合女子大学, 文学部, 教授 (90758509)
星野 徳子  神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70609841)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード未知語 / 推論 / 語彙 / 読解 / 語彙レベル / 語彙指導 / 第二言語習得 / 外国語
研究実績の概要

学習者が未知語の推論を行う際には、どのような手がかりを用いるのかについて研究が進んできている。手がかりの単位としては、語の音、語の語根やその前後に付与される形態素、あるいは句・節・文といった単位の要素、または、未知語の含まれる文の前後の文との関係、さらには、文脈全体や読み手の背景知識などのレベルが考えられる。読解力と語彙との関係から予想されるのは、文レベル以上の、つまり、文と文の関係から文脈上の意味を把握して未知語の推論をすることである。実際にそのような研究成果もある。本研究では、大学生のデータの量的分析結果としては、文単位の範囲での手がかりを多く用いる傾向があるようだ。これは、今後の学習指導において、推論の手がかりの範囲をより広くすることを奨励することにより、読解力と未知語の推論の力を養うことができるかもしれないという示唆とも考えられる。
また、未知語の推論を行うことによって、どのような意味の把握ができるのかについての質的、つまり少人数の詳細にわたるデータ分析によれば、ていねいな推論を奨励されれば、学習者は未知語に対してかなり近い意味を推論できるものの、特に副詞などの品詞の語については、そのものずばりの意味の把握は難しい。これは、ある意味で、副詞などはそもそも意味を精緻化して伝える機能を有しており、その語を文章の中で用いる理由は正に特別に意味を込めてある語を用いるので、その精緻化された意味を未知語において正確に推論し当てることは困難と考えられる。英語学習でなしうることは、学習者に推論させて、近い意味を割り出させた上で、未知語の正確な意味を示すことにより、認知的により深く未知語を記憶する指導法を考える事であろう。
未知語の推論を助けるためには、使用頻度レベルに基づく学習用テクストに関する調査を行って、有意味な推論のできる学習ルートを開発することができると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、量的データ収集として、大学生・高校生・中学生の読解と未知語の推論のデータを集めることを予定していた。現在、大学生についてはデータが集まり、あとは分析を行うことになるが、日本の高校生・中学生については、既知語彙のレベルがあまり高くないため、本実験に適したテクストを選別するのがなかなか困難である。この点で、いくらかデータ収集に遅延が起きており、今後この問題にどう取り組むかを現在、議論しているところである。未知語の推論のためには、やはり、ある程度の基盤となる語彙と読解力がないと困難なのかもしれない。この点については、今後の課題である。

今後の研究の推進方策

現在収集した段階の大学生による未知語の推論データを分析し、学習者はどのような推論により未知語の意味を把握するのか、また、どのような手がかりを用いると推論が外れるのかなど、未知語の推論の様を明らかにする。
さらに、次のステップとしてはどのような推論の指導をすれば、学習者にとって有益な語彙習得につながるかを考察することである。できれば、複数のプランを考案して実践しより学習効果の挙がる方法を見出したい。
従来の英語教育においては、語彙習得は、まず日本語の意味を覚えることから始まっているが、この考え方の根本を問い直し、まず推論から始まる語彙学習の指導法を考えたい。とりもなおさず、母語における膨大で意味の正確さを伴う語彙習得はほとんどすべて推論によるものである。このことを踏まえた外国語の語彙指導のよりよい方法を考案していきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

データの収集およびその主計に少し遅れが出ているため、その費用として計上してた、人件費、通信費、謝礼などの必要経費の執行が繰り越された。また、データ分析に必要とされる専門知識の提供に対する謝金も未使用であった。

次年度使用額の使用計画

当初の予定を実行するべく、データ収集に力を入れることとその得られたデータの分析を行う。すなわち、計上してあった人件費、通信費、謝礼などを執行し、データ分析には専門知識を必要とし、そのための謝金もこれから遅れたものの執行していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] The Role of lexical Inferencing in L2 Reading Comprehension2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Tajika, Ryoko Saito, Natsumi Okuwaki, & Keiko Murasugi
    • 学会等名
      CAES International Conference 2015
    • 発表場所
      Univ. of Hong Kong
    • 年月日
      2015-06-12
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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