研究課題/領域番号 |
26370713
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
星井 牧子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90339656)
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研究分担者 |
LIPSKY Angela 上智大学, 外国語学部, 教授 (90348194)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外国語教育 / ドイツ語教育 / 第二言語習得 / 文法習得 / 語順習得 / 冠詞習得 |
研究実績の概要 |
本研究は、留学等による目標言語圏での滞在が、日本語を母語とするドイツ語学習者の文法習得に与える影響について、発話データおよび作文データを用いて、ドイツ語の語順と冠詞の使用を中心に、言語使用の変化を調査・分析するものである。平成28年度は、平成27年度に引き続きデータ収集を行った上で分析を進めた。 1)定動詞の位置・語順習得:平成27年9月にドイツ留学を開始した上級レベルの学習者2名を対象に、平成28年9月までに2名×3回(計6回)のインタビューを実施し、発話データと作文データを収集した。また調査対象者の言語使用のレベルと変化を見るために、前年度に引き続き、最終回(第7回、留学期間終了・帰国後)にはC-Testとレベルチェックテストを実施した。収集した音声データ(計35データ 第1期第3回~第9回分:計21データ、第2期分:計14データ)は、文字化ソフトEXMARaLDAを用い、転記システムGAT2にしたがって文字化作業を終了した。文字化済みの発話データおよび作文データはExcelファイルに変換し、定動詞と前域および文構造、主語と動詞の一致に関する分析作業を行った。 2)冠詞習得:冠詞使用:語順習得と同様に留学による言語使用の変化を調べるため、データ収集を継続し、平成28年6月に4名の学習者にたいして5回目のインタビューを実施し、発話データと作文データを収集した。平成27年度分を含めたインタビュー音声データ計28データのうち、15データについてEXMARaLDA / GAT2による文字化作業を終えた。また、ドイツ及び日本で出版されたドイツ語教科書における冠詞の提示方法を分析し、その結果を論文としてまとめて公表した。 3)平成28年4月にカッセル大学のKarin Aguado教授を招聘し、ドイツ語習得に関する講演会を開催の上、データ分析に関する意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標言語圏でのドイツ語使用の変化を調査・分析するには、継続的に学習者のデータを収集する縦断的調査が必要だが、今回の研究課題で最も重要なデータ収集及び分析を順調にすすめ、調査・分析結果全体を公表するための基盤の構築ができた。 1)定動詞の位置・語順習得:第1期、第2期ともに発話データおよび作文データの収集がすべて終了し、発話データについては文字化作業を終えた上で、作業考察の基礎となる定動詞と前域および文構造、主語と動詞の一致に関する分析を終えることができた。 2)冠詞習得:データ収集を終了した上で、収集したデータの半数について文字化作業が終えた。考察の際に必要となるドイツ語教科書における冠詞提示についての調査/分析を論文にまとめて公表した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は平成28年度で終了予定だったが、平成29年度に2つの国際学会での研究成果の公表が決まったため、研究期間を延長した。今後は、分析結果をまとめ、国際学会等で発表することで、国内外の研究者と意見交換を行い、今後の研究に繋げることとする。すでに成果発表が決定している学会は下記の通り。 1)学会名:Internationale Deutschlehrertagung (IDT) 2017、開催期間:2017年7月31日~8月4日、開催地:フリブール大学(スイス)、発表者:星井牧子(研究代表者)、リプスキ・アンゲラ(研究分担者) 2)学会名:27. Kongress der Deutschen Gesellschaft fuer Fremdsprachenforschung (DGFF) 、開催期間:2017年9月27日~30日、開催地:イェナ大学(ドイツ)、発表者:星井牧子(研究代表者)
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画ではすべてのデータの文字化作業を28年度中に終え、謝金を支出する予定だったが、特に研究分担者が担当する冠詞習得については、文字化作業を依頼した相手が作業を進められなかったために、文字化作業の一部ができなかったこと、研究分担者が平成28年夏まで海外在外研究期間を取得したこと、成果発表に適切な国際学会の開催がなく、予定していた海外旅費が発生しなかったことなどから、平成28年度中の支出総額が減り、結果的に次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度中に開催される2つの国際学会(発表採択済み)に参加するため、成果発表のための海外旅費として支出する他、国内外の研究者との意見交換として国際研究集会を開催し、海外からの研究者招聘のための旅費として支出する。またデータの文字化作業他、分析を完了させるための謝金として支出する。
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