研究課題/領域番号 |
26370726
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植田 晃次 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (90291450)
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研究分担者 |
矢野 謙一 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (00271453)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 朝鮮語教育史 / 朝鮮語 / 旧朝鮮語学 / 韓国語教育史 / 韓国語 / 異文化接触 / 異文化受容 / 朝鮮語学習書 |
研究実績の概要 |
「原物主義」・「人物史主義」に加え、「現地主義」に立脚し以下の成果を得た。 1.人物に関する研究:これまでの研究での未解明点の補充を含め、赤峰瀬一郎・薬師寺知[日龍]・島井浩・奥山仙三・山本正誠などの学習書を残した代表的人物に加え、本田存のように学習書を残さなかった人物についても詳細な人物史を明らかにした。また、金沢庄三郎の朝鮮語研究、朝鮮総督府朝鮮語講習所での朝鮮語教育、西村真太郎・塩川一太郎・船岡献治などの人物史も調査・検討した。 2.学習書に関する研究:旧朝鮮語学という概念を体系化した。旧朝鮮語学とPodstavin・Gale・Underwoodらの欧米人の朝鮮語研究との関係を明らかにした。また、国内外所蔵の学習書の書誌学的データを補充・精密化した。 3.異文化接触・受容に関する研究:1・2を基に、ある人物に対する従来の評価が一面的であり、妥当でないことを明らかにした。これまでも、「代表的な朝鮮語の普及者」と評価されていた島井浩が金融業・賃貸業の傍ら朝鮮語にも関わった人物であったり、金島苔水が作り本の著者として朝鮮語にも関わった人物であったという全く異なる姿を明らかにしていた。さらに本研究では、学校教育によって習得した朝鮮語を足掛かりに官吏や教員として活動した奥山仙三や山本正誠、東京外国語学校朝鮮語科教授でありながら水泳・柔道の達人であると評価されていたが、実は水泳・柔道の達人が朝鮮語も教えた時期がある人物であった本田存といった人物の従来の評価を覆す姿も明らかにした。それにより、ある人物が朝鮮語という異文化に接触した時、当時の社会的背景の中で如何に受容し、あるいは受容しないかによってどのような人生を歩むかということを示し、朝鮮語が着脱可能なアイテムであったということを明確にした。併せて、当時の日本人と朝鮮語との関わりに現代の視点から単純に評価を下せないことも提起した。
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