研究課題
2020(平成32)年度から実施される小学校英語の教科化を間近に控え,小学校高学年での教科としての英語の授業を担当できる教員の確保が喫緊の課題となっている。その課題解決に少しでも資することを念頭に,過去4年間にわたって,学校英語教育だけでなく,教員養成においても多大な成果を上げているフィンランドに注目し,その大学における小学校英語担当教員養成システムについて現地調査を交えて研究を進めてきた。現地調査に関しては,フィンランドにおいては,学級担任と専科教員のいずれもが小学校英語を担当できることになっているので、学級担任及び専科教員の養成課程を有する6つの大学(オウル大学,東フィンランド大学,ユバスキュラ大学,タンペレ大学,トゥルク大学,ヘルシンキ大学)で調査を実施し、開講されている授業科目名を中心に各大学でのカリキュラムの実態を明らかにした。中でも、フィンランドの小学校英語担当教員養成システムの一番大きな特徴は、英語専科教員の資格が取得できれば、小学校から高等学校までのどの校種でも英語を指導できるという教科ジェネラリストの制度に求められることが判明した。英語専科の教員免許を取得した場合、中・高でしか英語が担当できない我が国の教員養成システムと大きく異なっており、小学校で英語授業が担当できる教員の確保が喫緊の課題になっている我が国にとって重要な示唆を含んでいる。研究4年目となる本年度(平成29年度)の研究においては、これまでの研究成果を研究成果報告書『フィンランドの大学における小学校英語担当教員養成システムに関する調査研究』(A4版、総125頁)にまとめ、関係研究機関や研究者に送付することによって、研究成果の社会への還元を図った。さらに、この研究成果報告書を公刊すべく、平成29年度の「研究成果公開促進費」へ応募したが、残念ながら採用には至らなかった。
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Pedagogy, Culture & Society
巻: 25 ページ: 225-241
10.1080/14681366.2016.1252420
http://dx.doi.org/10.1080/14681366.2016.1252420