研究課題/領域番号 |
26370733
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
中村 香恵子 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (40347753)
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研究分担者 |
萬谷 隆一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20158546)
石塚 博規 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50364279)
中村 典生 長崎大学, 教育学部, 教授 (70285758)
秋山 敏晴 北海道科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80275479)
志村 昭暢 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60735405)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小学校英語教育 / 教師認知 / 環境要因 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,小学校教師の言語教師としての認知の特徴を環境要因との関係において明らかにすることである。研究の1年目である26年度は,研究に必要となる質問紙による量的データとインタビューやグループ討議による質的データを収集した。2年目にあたる27年度は,それらのデータのうち,特に質的データの分析に時間を費やした。解釈の信頼性を高めるため,分析は常に複数の研究者による討議によって行われた。また質的な研究法の理解を深めるため,質的研究法に関する研究会やワークショップに参加し,研鑽を深めてきた。本研究は量的・質的データを混合して用いる混合研究法を用いているため,結果を発表するにあたって紙面が不足してしまうという問題点があったが,その対処法としてJoint Display (Creswell, 2014)を採用し,現在論文投稿準備中である。 以下は,これまでの研究で得られた成果の一部である。(1)自律性のある環境が教師の協力体制を高め,教師の協力体制(関係性)の高さは自己効力感や学校効力感を高める要因となるといった環境要因間の関係性が示された。(2)英語指導実践に対する意欲は教師の英語習得に対する自信とはかかわりがなく,生徒と教師間の良好な関係や教師の協力的な関係性といった環境要因がかかわっている。さらに,子供たちに見られた望ましい変化の実体験に基づく英語教育への期待といった内的要因や,英語指導が自分の強みになるという認識や期待されていることに対する良い意味でのプレッシャーといった外的な要因も教師の実践への意欲づけとなっている。(3)学習者として獲得した学習者ビリーフや学習経験が教師としても保持され,授業実践に影響している。一方,教職専門教育によって得た知識が学習法などのビリーフに影響をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1,2年目に予定していた量的・質的データの収集が順調に進んでいる。質的なデータの分析・解釈には予想以上に多大な時間と労力を要したが,データの一部の分析は完了し,現在論文投稿の準備中である。そこでは,質問紙調査から得た量的データの結果を各集団から抽出した個人から得た言語データの解釈により補完することで,より深い理解を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
グループ討議では,異なった特徴をもつ学校環境にいる教師のグループごとに,外国語活動指導実践に関する意識の違いを調べるために,小学校外国語活動のVTRを刺激素材として,自由に感想を述べあう調査も行っている。次年度はこのデータの分析と研究のまとめに重点を置く予定である。そして,得られた結果から,望ましい小学校英語教育を構築するための教師への支援の在り方について具体的な方策を提案したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は質的な研究への理解を深めるため,研究会やワークショップへ複数回出席し,そのための旅費が必要となった。そのため、英語論文の校正のための支出が不足となり、10万円の前倒しをおこなった。繰越金額の44,111円は、校正のための支出の差額である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究に必要なデータはすでに収集されており,今後はデータ収集のために必要な経費は生じない。研究最終年度となる次年度は,残された質的データの分析と,研究のまとめを進める予定である。繰越金額と残りの助成金は、主に研究成果の発表のための旅費や論文化のための必要経費として使用される予定である。
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