当該年度は本研究の最終段階として、当初は前年度までの研究データの分析をまとめると同時に言語材料モデル(英語リズム習得のための教材)と音声テスト検証結果をまとめ、論文、国内外の学会、セミナー等で発表を行う予定であった。しかしながら、本研究の主題の一つである児童の超分節音習得の指導法を明らかにしていくために、英語学習初習レベルにある児童がどれだけ英語音声を知覚し、産出できるのか英語母語子供の音声処理システムのモデルを使って分節音と超分節音両面の実態についての分析を平成26年度後半から進めた。その結果、特に児童の英語分節音の知覚・産出能力の実態について論文にまとめていくことが中心となった。 そのため、超分節音や音声指導のあり方についての統合的な指導法については、小学校教員向け研修や小学校教員向け指導用教材などの実践領域において紹介する程度にとどまった。前年度に行った超分節音の習得度を測定するタッピングテストについても、当該年度中に学会や論文発表ができていないため、今後学会や論文等で発表していく意向である。一方で、当該年度中の後半では、以下の3点について研究を進めることができた。 (1)子どもが英語超分節音を習得する過程について先行研究を更に調査をした。その上で、英語リズム習得のための教材構築に必要となる音楽リズムが学習者の母語からの影響をある程度受けていることを想定し、(2)児童が日頃から学校・家庭生活全般において慣れ親しんでいるであろう音楽リズムについて、小学校音楽科の検定教科書内の音楽リズムの特徴を全学年分分析し、日本語モーラとの関係性を明らかにした。(3)これまでの英語超分節音の研究や実践経験、また上記の日本人児童の音楽環境を加味した上で、英語リズム習得のための教材を構築した。 以上の結果については、当該研究期間後に学会・論文等で発表予定、教材については出版の準備を進めている。
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