日本の大学英語科目では、授業を履修する代わりに、外部テストのスコアに基づいて単位を認定する場合がある。しかし各大学が具体的にどのように単位認定を行っているかは未解明である。本研究の目的は日本の大学英語科目における単位認定時に、英検・TOEFL・TOEIC がどのように使われているかを包括的に調べることである。特に、「単位認定対象の科目内容」と「単位認定時に用いるテスト内容」がどの程度一致しているかを調べ、日本の大学英語教育における単位認定がどの程度適切に行われているかを解明する。 今年度は以下4点を行った。第1に、教員へアンケートを実施した。第2に、分析・考察を完成させた。第3に、本研究の限界点を明らかにし、今後の研究が必要な方向性を考察した。その後、論文にまとめ国際誌に投稿した。複数の査読を経て、採択された。第4に、学会で発表した。 18の国立大学と28の私立大学のホームページで公開されているシラバスや単位認定に関する文書を分析した。その結果、(1)各大学には、外部テストのスコアに基づき単位認定できる英語科目が58.5科目(中央値)あること、(2)単位認定が行われる約3分の1において、「単位認定対象の科目内容」と「単位認定時に用いるテスト内容」の間に相違がみられること、(3)不一致は特に4技能科目(国立大学での単位認定の62.44%、私立大学での単位認定の63.37%)、リスニング・スピーキング科目(国立大学での単位認定の61.26%、私立大学での単位認定の65.29%)で多いことが分かった。不一致にもかかわらず単位認定を行う理由は、学生への動機付けとなるため、英語力全体を測るため、他大学で同様に行われているため、であることが教員に実施したアンケート分析結果から分かった。
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