研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語授業中に実施可能なロールプレイテストを開発し、妥当性を確保しつつ実施する方法を確立することである。本研究では、ロールプレイテストのより適切な実施・採点方法を、ディスカッションテストと比較しながら調べ、実施可能なテスト方法を提案する。ロールプレイテストとは、学生同士で、カードで指定した役割で会話する形式で、採点の困難さから、授業での評価時にはあまり使われていない。本研究は、日本人大学生を対象に、関連する多くの側面から分析し、Chapelle, Enright, and Jamieson (2008) に基づいて結果を統合することを目的とする。 5年目である本年度は、第1に、2年目までに作成した総合的尺度に加えて「分析的尺度」を作成し、その妥当性を検証した。分析的尺度の観点は、発音・イントネーション、文法と語彙、流暢さ、やり取りによるコミュニケーション、タスク到達度の5点とした。同じ発話を総合的と分析的の両方で別々に評価して比較したところ、2つの尺度ともほぼ適切に機能しており、2尺度間の相関は .85と非常に強いことが示された。分析的尺度の観点は2つまで減らすことが可能で、テストが測る構成概念から考え、「やり取りによるコミュニケーション」と「タスク到達度」の2つを使うことが提案された。 第2に、今まで得た妥当性の証拠を、Chapelle et al. (2008)の枠組みに沿って整理し、包括的な妥当性検証のために今後必要な点をまとめた。今後行うべき研究は、(a) テストが測れる範囲を広くするために難易度が様々なタスクを増やし質を調べること、(b) テストを行うことでの学生の英語学習やスピーキングに対する影響を、多様な観点で長期間で調べること、(c) 学生同士が話すときのどんな人と組むかによるテスト得点への影響を調べることであり、さらに検証を進めていく。
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