本研究は、戦前上海にあった東亜同文書院の中国語教育について、そこで作成、使用された教材などの文献資料を整理しつつ、版本研究や統計処理も用いた分析を通して、その実態を明らかにした。研究の結果、東亜同文書院及び前身校日清貿易研究所使用教材を把握し、それらに基づいて、東亜同文書院の中国語教育について、(1)独自性、(2)継続性と発展性、(3)口語と文章語の二つのカテゴリーからなる総合的な中国語教育が実施されていたことを明らかにした。 さらに、欧米言語教育に偏っていた戦前の高等教育の中で、東亜同文書院は大学に昇格すると、日本で初めて中国語に主軸を置いた大学教育を行おうとしていたことを明らかにした。
|