研究実績の概要 |
本研究の目的は、アクション・リサーチ(AR)の実践による英語教師の専門性向上に対する効果を明らかにするとともに、それによる英語教師の成長を広くそして深く探ることである。最終年度となる本年度は、英語教師が自らの専門能力を振り返るための自己評価チェックリストの開発に関する研究をまとめ、その自己評価チェックリストを使用して収集された量的データの分析を進めて、その成果として中部地区英語教育学会紀要に論文としてまとめて発表をした(三上, 2017)。その結果によれば、英語教師の下位能力を4分野(教科の知識・技能、教科を教えるための知識・技能、教科指導技術、教師の成長に関する知識・技能)に分類した場合、ARの実践による影響は、各下位能力において異なることが示唆された。つまり、教科の知識・技能と教科を教えるための知識・技能の2つの下位能力においてはその向上が確認されたが、他の2つの下位能力においては向上が確認されなかった。 また、昨年度実施した内容的妥当性に関する調査結果を詳しく分析し、自己評価チェックリスト(修正版)の内容的妥当性を検証した結果、それが適切であることが確認された。一方、量的データの分析に時間がかかってしまい、質的データの分析がまだ十分にできていないが、ARによる教師の成長に対する効果はより広く考察する必要がありそうである。今後は、インタビューによる質的データの分析をさらに詳しく分析し、ARによる英語教師の専門能力に対する影響をより広く深く探っていく予定である。このように、量的研究と質的研究の両結果に対する分析を詳しく行っていくことによって、さらにARによる英語教師の専門能力や成長に対する効果を明らかにすることができるであろう。
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