本研究は、IPR(太平洋問題調査会)に注目して、戦間期における国際主義知識人のトランスナショナル・ネットワークの政治的側面の分析を行った。 日本IPRによる満洲国のIPRへの加盟推進、日本の抑止を目的としたオランダIPR・フランスIPRによるアメリカIPRへの接近、カーターIPR国際事務局長とアメリカ国務省の関係、中国政府、特に蒋介石によるIPRへの積極的な接近(金九の亡命政権、自由タイのIPR加盟推進)、ソ連IPRの設立過程およびソ連政府内での位置づけ、などがマルチアーカイヴァル・アプローチにより明らかになったと言える。
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