1780年代から1830年代にかけて反奴隷制運動が進行する中で西インドの英領植民地で、奴隷や元奴隷たちの家族に求められていた家族観やその変化とその意味を検証した。 検証した時期を通じて奴隷制プランテーションが地域経済の核となっていた西インド世界にでは、労働力としての黒人奴隷人口の維持に関心が高まり、女性の奴隷たちの出産能力を最大化するための様ざまな努力が行われた。さらに、子どもの奴隷たちの成育環境にも大きな関心が払われるようになった。結果的に出産数は増加しなかったが、それを促すために奴隷たちに普遍的とされた(非国教会も含めた)キリスト教的なモラルや家族規範の普及がはかられた。
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