研究課題/領域番号 |
26370775
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
三舟 隆之 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (20418586)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本古代史 / 仏教史 / 考古学 / 古代寺院 / 伽藍配置 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究概要は、まず8/19~22の4日間に韓国中央博物館を始め、各地の博物館で韓国の寺院の出土遺物を見学し、同時に各地の寺院遺跡を踏査することによって、伽藍配置や立地などの寺院造営技術の共通性を調査した。とくに扶余地方では、定林寺址を始めとする一塔一金堂式の伽藍配置が中心であり、それが定型化して扶余周辺に分布することを確認した。これについては、王権が造寺技術を掌握し、その指導の下で各寺院が造営された可能性が考えられる。また百済の地方寺院についても踏査したが、多くは統一新羅時代のものであった。この点については、百済時代の地方寺院については数は少なく、王都周辺に寺院が展開すると理解できる。 次に慶州の寺院跡については、初期の寺院では皇龍寺や四天王寺址などの木塔のものもみられたが統一新羅時代に石塔に転換し、仏国寺や遠願寺址・崇福寺址などの慶州郊外の石塔を中心とする双塔式寺院など、定型化した伽藍配置がみられた。これらの定型化した伽藍配置については、造寺意識や寺院造営技術などが理由として挙げられるのではなかろうか。また天官寺址などの貴族の邸宅寺院について知ることが出来たのは収穫であった。 日本国内では、まず各地域の寺院遺跡を集成し、中でも伽藍配置の寺院判明するものをピックアップした。とくに近畿地方はまず仏教受容後最初に寺院が造営された地域でもあるため、飛鳥地方を中心として伽藍配置の分類を行うため、飛鳥寺を始め山田寺・法隆寺など寺院の伽藍配置をみると共に、伽藍配置の採用が立地に左右されるかどうかの検証も行っている。そして26年度の後半では、摂津・河内・和泉などの大阪府域の寺院遺跡を踏査し、坂本寺跡などの寺院遺跡の塔・金堂などの伽藍配置を確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず韓国における調査は、韓国側の研究者の協力によって短期間であるにもかかわらず、多くの寺院遺跡を踏査でき、初期の目標をほぼ達成できた。 一方国内においては、奈良県・大阪府の寺院遺跡の調査を行ったが、調査報告書などの資料入手と遺物の実見などが不十分であると考えている。これについては次年度の調査で補填したい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度においては計画通りの調査を行い、中国・四国地方、九州地方の寺院遺跡を調査する計画であるが、計画を効率よく進めるためにも事前に寺院遺跡についてきちんと資料を収集し、データをまとめておきたい。とくに調査報告書などの資料の入手には力を入れたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に調査を実施した部分について、大学の会計処理が間に合わなかったため、次年度使用額に回ってしまった。また旅費については、韓国調査の旅費が韓国側の手配によって交通費が余りかからなかったため、当初の予定より費用がかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
まず年度末の調査については、授業・入試や公務などによってなかなか時間がとれず、どうしても年度末の調査になることがあるが、会計処理の面から次年度使用額に回る恐れがあるので、今後は調査の時期をなるべくはやめたい。
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