研究課題/領域番号 |
26370775
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
三舟 隆之 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (20418586)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本古代仏教史 / 古代寺院史 / 伽藍配置 / 地方寺院 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究概要は、まず九州地方の豊前・豊後、肥前・肥後、筑前の各地域の地方寺院を踏査し、伽藍配置と瓦当文様についての調査を行った。その結果、豊前地域には百済系の瓦当文様が集中するが時期は遅れ、また椿市廃寺の伽藍配置が四天王十式であることも確認できた。 次に山陰地方の古代寺院の分布については、山陰道沿いに寺院が分布することが確認され、伽藍配置も双塔式などの特徴のある伽藍配置や、瓦積み基壇などの造営技術の分布が認められ、これらの分析を行っている。寺院だけでなく仏像においても同一のモデルがあることが判明しており、そのルートと重なるかどうか検討したい。ただ、出雲地方においては外部からの造営技術が導入されていることは明らかではあるが、畿内直結型ではないので、その点も特徴的である。これについては、出雲古代史研究会で報告し、現在その成果を発表する予定である。 最後に四国地方の寺院調査を行った。四国ではやはり法起寺式伽藍配置が多く、また瓦当文様では川原寺式が多く、畿内の影響が強いことが認められる。一方、伊予では法隆寺式が多いことが報告されているので、地域における瓦当文様採用の原因を追及したい。 その他、関東地方の古代寺院について、影向寺遺跡のシンポジウムで東国の寺院についての報告を行い、現在成稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は韓国で古代寺院の伽藍配置や瓦当文様の特徴を調査し、伽藍配置が定型化していることを確認した。また畿内地方の寺院の伽藍配置調査も行った。 平成27年度の調査は、九州・四国・山陰地方で行い、各地方の古代寺院の伽藍配置と瓦当文様を調査した。伽藍配置では法起寺式が各地域で最も多く分布し、瓦当文様についてはやはり山田寺式・川原寺式が共通して多いことが判明するが、その相関関係については十分に把握できていない。また寺院の伽藍配置も時期によって換わるため、どの時期を中心に考えるか、考慮中である。現在、山陰地方の地方寺院について分析を行っている。 また文献史料の収集にも努め、寺院造営技術の伝播について、僧侶が関与する可能性を検証している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は最終年度であるので、残った山陽地方の古代寺院の調査を行い、データベースを作成して分析を行い、伽藍配置と瓦当文様や寺院の造営技術の伝播経路のについて言及したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
授業・校務、及びその他の共同研究の関係で、山陽道地域の調査が行うことが出来なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
早急に山陽地域の調査を行い、研究の総括を行う予定である。
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