日本の古代寺院の伽藍配置については、従来古代の仏教観を表しているとされてきたが、地方寺院の伽藍配置を見ると金堂だけの寺院も多く、定型化していない。朝鮮半島では古代寺院の伽藍配置は定型化した形式で、王権が寺院を造営する技術を把握していたことが判明する。しかし日本では寺院の伽藍配置は多様であり、とくに地方寺院では規格性に欠け、畿内から離れた地域では、地方寺院はさまざまな技術が用いられ、そこに仏教の教義を見出すのは困難であり、畿内寺院の伽藍配置を意識しながらも、地方独自な伽藍配置も採用されている。日本古代の地方寺院は、ある程度規制されず自由なプランで造営されていたと考えられる。
|