研究課題/領域番号 |
26370776
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
岡野 友彦 皇學館大学, 文学部, 教授 (40278411)
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研究分担者 |
漆原 徹 武蔵野大学, 文学部, 教授 (20248991)
花田 卓司 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (60584373)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 古文書学 / アーカイヴス学 |
研究実績の概要 |
本研究は「古文書の料紙と様式の有機的関連性についての史料学的アプローチ」と題し、主として「様式論」「機能論」といった文字列情報を中心として進んできた従来の伝統的古文書学と、「料紙論」「形態論」をはじめとする非文字列情報を中心として急速に進展しつつある近年の古文書学を有機的に関連させることで、古文書学の新たな飛躍を試みるとともに、古文書学とアーカイヴス学(文書保存学)との対話の可能性を探ることを目的とする。 上記の目的のため、平成27年8月18日~20日には米沢で、平成28年3月15日~17日には伊勢で、それぞれ古文書の調査を実施した。8月の調査では米沢市上杉博物館所蔵『上杉家文書』のうち、足利将軍家発給の古文書を中心とする91点について、熟覧を行うとともに顕微鏡画像等の調査を実施し、3月の調査では皇學館大学附属図書館・国史学科・神道研究所・史料編纂所・神道博物館がそれぞれ所蔵する古文書のうち、中世以前のものを中心とする172点について、熟覧を行うとともにプロのカメラマンに依頼しての高精細画像撮影等の調査を実施した。 今回の科研では、最終的な目標として、全国の日本史関係の大学において、古文書学のテキストとして使用することが可能となるような、古文書のカラー図版入りの書籍の刊行を目指しており、既にミネルヴァ書房の了解も得ているが、今回の調査・撮影を通じ、特に皇學館大学で撮影した高精細画像が、そのための教材として適切であることが確認されたので、最終年度となる平成28年度は、これらの画像の調査と、不足分の撮影を通じ、平成29年度に上記の図書を刊行できるよう、努力していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請において予定していた、米沢市上杉博物館所蔵「上杉家文書」に収められている室町幕府関係文書の調査を、平成27年の8月18日~20日に実施し、予定していた調査を、ほぼこの3日間で終えることができた。このことによって初年度の遅れを取り戻し、さらには皇學館大学所蔵の古文書についても調査実施することができた。 よっておおむね順調に進展していると言うことができよう。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に調査した東京大学文学部所蔵「青蓮院文書」、平成27年度に調査した米沢市上杉博物館所蔵「上杉家文書」、そして皇學館大学所蔵文書など、古文書学のテキストに使えそうな古文書の画像が揃ってきたので、これらを精査するとともに不足分の調査を行い、当初の研究目的に向けた研究成果が得られるよう、努力していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な原因は平成26年度、43万円余りの未使用額を残してしまったことにある。当初、平成27年度に執行を予定していた金額は143万円であったが、26年度からの繰り越し43万円余が加わり186万円余りを執行することとなった。結果としてほぼ当初予定していた通りの調査によって146万円余りを執行したが、前年度からの繰り越しの内からは4万円余しか使うことができず、39万円余を次年度使用額として残すことになってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度においては、報告書の作成等に予期せぬ金額が必要となる可能性があるので、上記の39万円余を有効に使用できるようにしたい。
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