山陽地域(備前・備中・備後・安芸国)における国衙(国府と役人)の関係について、古文書と現地の調査にもとづいて研究を行なった。備前では岡山県岡山市高島付近、備中では岡山県総社市、備後では広島県府中市、安芸では広島県府中町に関する古文書を収集し、また正月および九月の祭礼行事への参与観察を行なうことで、中世国衙における寺社祭礼の復元を行なった。これにより、国衙をめぐっては天台寺院の勢力が圧倒的であり、かつそれらが末寺連合を形成していたこと、また一宮以下の神社とは僧侶による大般若経の転読によって結ばれていたことが確認された。
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