研究課題/領域番号 |
26370784
|
研究機関 | 金沢工業高等専門学校 |
研究代表者 |
宮野 純光 金沢工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (20413768)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 真言宗 / 寺院資料 / 奥能登 / 資料保存 |
研究実績の概要 |
平成26年度においては、真言宗町野結衆寺院の中で調査の実施が可能な寺院を訪問し、各寺院の所有する史・資料や仏像、墓石などを中心に写真撮影や採寸、銘文の記録などの調査を行い、各寺院の歴史や僧侶、所蔵資料の基本的データの収集に努めることとした。 具体的には26年度に調査を開始した町野結衆寺院には輪島市の岩倉寺、八幡寺、天王寺、鳳珠郡能登町の平等寺(合併した安養寺の仏像・資料を含む)、長福寺が挙げられる。懈怠無い調査の進展を重視し、各寺院のご都合が付く日に調査を行っていったため、5カ寺を同時並行的に調査することとなった。いずれの寺院においても写真撮影や調書の作成を行っていく中で、ご寺院側でも完全には把握されていなかった所蔵資料の確認が進むと共に、中には江戸代時をさかのぼる貴重な資料の確認もあった。 調査対象寺院が当初予定より増えたため、調査やデータの取りまとめが、やや遅れ気味ではあるが、こうした作業を通して各寺院の基本的データをまとめることにより、研究目的である奥能登地域の真言宗寺院の歴史的変遷、奥能登地域の社会、信仰の地域的特色の解明に向けての研究が進展しているものと考える。 各寺院の所蔵資料の中には、墓石のように屋外にあり、風雨にさらされるため風化による破損により徐々に内容がわからなくなるものが見られる。本研究ではこうした資料の記録を少しでも多く残し後世に伝えていくという役割も担っている。また、所蔵されている紙の資料群には残念ながら虫損やカビに被害にあっているものも少なくはない。こうしたものも、ご寺院側の協力を得て可能な限り良い状態で保管し、後生に残せるように努めている。こうした歴史的資料の内容的保存、或いは物質的保存を進展するという側面からも本研究の持つ意義は大きいと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は町野結衆寺院5カ寺の所蔵史・資料や仏像、墓石などを中心に調査を行い、各寺院の所蔵資料、僧侶の基本データの作成を行いつつある状況であり、初年度の進行状況としては目的を果たせているといえる。 本来であれば初年目で数カ寺の調査を終えたかったところであるが、当初の予定以上に多くのご寺院からの協力を得ることとなり、調査の懈怠無い進行を重視した結果、5カ寺の調査を同時並行的に実施したため、いずれの寺院においても調査を終えることができなかった。 また、ご協力いただいたご寺院では予想以上の資料が確認されたため、写真撮影や調書の作成に時間がかかっており、それに伴いデータの取りまとめもやや遅れてきている。こうした状況も鑑み、全体としての目的の達成度はやや遅れているとしたい。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に始めた5カ寺の調査を更に進め、各寺院の僧侶や所蔵史・資料の基本データの作成も進めるとともに、更に協力が期待できる他の3カ寺についても可能な限り調査を進め、データの充実を図っていきたい。研究目的である、奥能登地域の真言宗寺院の歴史的変遷、奥能登地域の社会、信仰の地域的特色の解明に向けて、個別事例の検討を始めるとともに、学会誌等に発表し研究の進化を図っていきたい。 調査に関しては、予想以上の史・資料が確認されつつあり、今後残された期間と予算での調査だけでは全ての調査を終えるのは難しい状況にあると推測される。今後の調査においては、研究目的の達成により必要と思われる情報を優先的に収集できるよう配慮していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査の進展を最優先課題として、予算の大部分を調査に伴う国内旅費(宿泊費や交通費)と研究協力者の謝金に充てたため、いくらかの誤差が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の調査費用(国内旅費・謝金)として使用する。
|