研究期間の1年間延長を行い、地籍図調査と研究の総括を行った。 太宰府市公文書館および太宰府市役所の全面的な協力を得て、太宰府市内の地籍図(水城村地区)のデジタル化と地割・水路等の調査を実施して、方格地割などの残存状況の把握に取り組み、条坊復元における一定の成果を挙げることができた。さらに大宰府官衙域の区画および郭外官衙の検討を行う基礎資料もこのたび併せて得たことになる。また、地籍図のデジタル化により、地籍図原本の保全に資するとともに、アーカイブとして今後の研究進展の素地が整備できた。 富山県立の高志国文学館との連携事業として、展示および研究の協力を行った。その成果は、当該館の展示図録『官人 大伴家持』に拙著「大宰府と家持」を寄稿するとともに、現地に赴き資料の調査も行わせていただいた。 研究の総括としては、基盤研究(C)「古代都市大宰府の復元的研究」研究成果報告書として『古代都市大宰府の研究ー出土文字資料と文学作品からみた大宰府の諸相』(本文80頁)を刊行し、そのなかには本課題にかかわる5本の研究論文を収載した上で、研究の総括および課題と展望を記している。また、『九州歴史資料館研究論集42』に大宰府の防衛都市として側面に焦点を当てた論文「律令制下の大宰府と古代山城」を発表した。 さらに一般の方々への研究成果の公開として、九州歴史資料館特別展「大宰府への道ー古代都市と交通ー」(平成30年4月24日~6月17日)を開催し、図録を制作し、ギャラリートークも行った。
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