研究課題
基盤研究(C)
日本近世の後半には、書物が地方へ普及することによって、僧侶による説教とそれを聴聞する信者の宗教的活動が活発となった。これにより、信者の獲得をめぐって宗教者どうしが競合するとともに、宗教者と俗人の身分を分ける原則に基づいた関係も動揺することになった。また、浄土真宗の僧侶たちは、家の存続を願う民衆に対し、世俗倫理の実践と信仰の両立を促すようになるが、人々の救済願望に応えることと、世俗的秩序への順応の両方をめざす教化は矛盾を抱えざるをえなかった。そして、このことは僧侶間に対立をもたらしていた。
日本近世史