東京大学史料編纂所・鳴門教育大学附属図書館において研究課題に関わる参考文献の閲覧・複写を行った。香川県内の資料所蔵機関においては、香川県立ミュージアム所蔵の「讃岐国高松地図」の閲覧と写真撮影を行った。最終年度であることから、資料調査は以上にとどめた。 これまでの研究の成果をまとめ、論文「香川県立ミュージアム所蔵元文5年(1704)6月讃岐国高松地図について」と論文「『正保国絵図』に見る近世初期の引田・高松・丸亀」を発表した。前者においては、本絵図が公益財団法人鎌田共済会郷土博物館所蔵の「讃岐高松地図」の原本にあたることを明らかにし、完成期の高松城下町についての詳細を考察した。後者においては、国立公文書館所蔵の「正保国絵図」写本「讃岐国図」(松平乗命蔵本)を用いて、生駒期の讃岐国における開発の最終的な姿を明らかにした。また、研究期間に得られた知見をもとに、以前に発表した論考の内容を改訂して「生駒時代の讃岐国絵図」を執筆した。 本研究の成果については、以前から担当してきた一般市民向けの講座で地域に還元するとともに、香川県立文書館の古文書解読講座3回を新たに担当し、応用編の資料として研究課題に関わる史料を中心に「『盛衰記』と『消暑漫筆』を読む」を作成し、講座でのテキストとした。本講座の受講者は延べ300名の多数に及んだ。また、香川大学教養教育科目「地域理解(1)歴史・人物編」のe-learningでの講義資料「近世讃岐国における開発と治水の展開」を作成した。 本年3月末には、研究期間に発表した研究課題に関する論文6本と上記の古文書解読講座の資料など2本をまとめ、研究成果報告書(総頁127頁)を作成し、香川県立ミュージアム、同文書館等の県内外の機関および香川県内外の研究者に配布した。
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