私立文系大学における学徒出陣の実態を明らかにするという本研究の目的を達成するため、最終年度は、聞き取り調査を4回行ったほか、平成26年度から28年度にかけて実施した聞き取り調査の翻刻やアンケートの整理作業を中心に行った。結果、3年間で行った35回分の聞き取り調査を翻刻し、その内容の一部を「研究成果報告書」に掲載した。 なお、本研究は、文系私立大学と銘打ちながら、専修大学のみを取り上げたが、明治13年(1880)に創立された専修大学は、設立当初から現在に至るまで経済学・法学・商学・文学など社会科学系・人文科学系のみの学部を有する典型的な文系大学であった。つまり在校生すべてが学徒動員の対象者であった。さらに神田という立地的要因から他の私立大学、例えば法政・日本・明治大学とも教員・学生を含めて交流が深く、戦前はこれらの学校と同時に通っていた学生もいたことが、その理由である。全国に数多くの文系私立大学があるが、専修大学はその意味で調査対象として最も適していた大学と言えよう。 そのほか、平成28年度の聞き取り調査の対象者や実施場所・日時については、『専修大学史紀要 第9号』(平成29年3月 専修大学大学史資料課 刊行)に記載した。 本年が最終年度であったが、その成果として平成29年3月に「研究成果報告書」を作成した。34回分の聞き取り調査の翻刻、41名分のアンケートの回答結果、さらに平成26年~28年度の研究・調査を含めて収集した関係者の手記および資料36点を翻刻掲載し、研究代表者である新井勝紘による総合解説を付した。この「研究成果報告書」は400部を作成し、関係者および関係機関に配布する予定である。
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