19世紀前半に、蘭船が日本に持ち渡った私的貿易品といわれる脇荷物に焦点を絞り、その輸入実態を日蘭両側の貿易史料を照合・解明し、日蘭貿易における脇荷物の位置付けを試みた。今回は特に1840年代を中心に考察したが、当時の脇荷貿易は、1835年に始まったバタヴィア政庁が許した賃借人による取引であり、ガラス器や陶磁器といった食器類、さらに薬品類が非常に多く、本方荷物にはみられない多岐にわたる品々が存在していた。また、書籍類などは脇荷取引以外として賃借人によって持ち渡られ取引されていたが、これらの品々は、当時の蘭学興隆の面からみると日本文化史上、大変重要な意義を有していたといえる。
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