研究課題/領域番号 |
26370804
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
山形 隆司 日本福祉大学, 知多半島総合研究所, 研究員 (00342999)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 富士信仰 / 富士講 / 参詣 / 檀那 / 道中 / 御師 / 富士垢離 / 三禅定 |
研究実績の概要 |
本研究は、近世に富士信仰が近畿・東海地方でどのように受容されたかを解明することを目的としている。当該年度は、昨年度調査を行った富士山登山口に残る「道者帳」(登拝者名簿)や「檀那帳」(信者名簿)の分析に基づいて、富士信仰が濃密に分布する地域の文書調査および文献収集を行った。 伊勢・伊賀地域の登拝者の道中日記では、富士山への直線的な行程が記されており、昨年度に検討した尾張国における「三禅定」(富士山・立山・白山の三霊山を一度に登拝する)とは対照をなすことが確認できた。これに加えて、三重県伊勢市・志摩市で現在も行われている富士講の行事を調査した。これらの調査を通じて、古文書に記載されている水垢離などの具体的様相を推測することが可能となった。 さらに、神宮文庫(伊勢市)・岩瀬文庫(愛知県西尾市)等において近世に著された地誌類を調査し、浅間社に関する記述を抽出した。この成果に基づいて、富士山信仰とその拠点となる浅間社の関係を分析し、「16・17世紀の尾張国知多郡の富士信仰-富士山登拝と浅間社の勧請-」『知多半島の歴史と現在』19(日本福祉大学知多半島総合研究所、2015年)として発表した。ここでは、浅間社を管理する俗人の富士山先達が信仰を地域に広める上で、重要な役割を果たしていたことに言及した。 当該年度の研究を通じて、富士信仰は地域でそれぞれに特色が見られ、地域間で影響を及ぼしあっていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
富士山の各登山口に残る史料については補足調査が必要であるが、東海地方の富士信仰に関する文書・地誌類・文献を収集することができた。収集資料を分析することによって、当研究を推進することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
富士山の各登山口に残る史料の補足調査を行い、これまでに収集した資料の分析を進め、富士信仰の地域における受容のあり方について検討する。その成果は、報告書として刊行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠隔地での調査・学会発表を次年度に実施することにした為、旅費・宿泊費の支出額が低くなった。またデータ入力を研究代表者自ら行ったことで人件費・謝金を支出しなかったから。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降、遠隔地での調査・学会発表を計画しており、旅費・宿泊費が増加する予定である。また、報告書刊行に向けて図版の作成等に専門的知識を有する者を雇用する予定であるので、人件費・謝金が生じる予定である。
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