研究課題/領域番号 |
26370805
|
研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
母利 美和 京都女子大学, 文学部, 教授 (60367951)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 近世日本史 / 淀藩 / 稲葉家 / 上月家文書 / 竹林家文書 / 渡辺家文書 / 稲葉神社文書 / 田辺家文書 |
研究実績の概要 |
まず淀藩の基礎史料となる淀藩士上月家文書調査については、初年度は仮分類作業をおこない、全体の総点数は2160点となったため、本年度は③上月家家政関係、④文化教養関係典籍を中心に調査整理・仮目録を作成した。6~8月にかけて1点づつの詳細な調査を作成し約800点の調書作成を終えた。9月から調書作成をおこなった史料データの入力作業を行い、仮目録作成作業・一部史料の翻刻をおこなった。10月からは仮調書データと原本史料の点検校合作業をおこない、平成28年1月からは、点検作業を終えた調書データの修正入力作業をすすめた。史料について、仮目録の段階まで一連の作業を終了した。現状ではまだ全体把握ができる状態ではないが、③上月家家政関係の文書では、親類書(釣書・御礼書)、家族・縁戚間での書状、婚姻・養子縁組関係、諸儀礼書、遺言書、御守・祈祷札、屋敷普請関係、物品調達、宗教関係などがあり、④の文化教養関係典籍では、俳諧・和歌・漢詩などの諸文芸、茶の湯・香道などの諸芸道のものが確認された。 京都市歴史資料館所蔵の渡辺家文書については、資料館作成の目録を入手し、藩政関係史料の確認をおこない、すでに調査・写真撮影が済んでいることを確認した。京都府立総合資料館の田辺家文書・稲葉神社文書については、史料目録を入手し、幕末期の京都所司代就任時期の淀藩の動向を窺う史料が多数存在することを確認したが、現在京都府立総合資料館が膨大な所蔵史料の撮影事業をすすめており、担当者がその対応に追われ、平成27年度も撮影不能であった。 この他、旧淀藩士の竹林家文書の所在情報を得たので、当初計画にはなかったが、竹林家の承諾を得て、藩政関係の一部史料の写真撮影をおこなった。 研究会活動では、5月に連携研究者とともに、旧淀城・城下町地域を旧藩士の辻長治氏の現地案内により、現地調査を城下町絵図を参照しながら実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の中核史料である淀藩士上月家文書の調査は、当初の計画通り、おおむね800点について、仮目録の段階まで一連の作業を終了した。残る近代史料約560点については平成28年度の前半に調査を終了予定である。京都府立総合資料館所蔵の内、稲葉神社文書については、目録で確認する限り本研究で活用できる史料は数少ないが、田辺家文書は、目録で確認したかぎりでは、幕末期の京都所司代就任時期の史料が多数含まれており本研究での活用が期待できるが、まだ調査着手できていない。 しかし、新規に確認された淀藩士竹林家文書では、これまで調査した淀藩関係史料には見られない藩政構造の全体像が把握できる人事史料が含まれており、これを基礎として本研究の骨格を形付ける見通しがついた。 連携研究者との研究会は、研究協力者の都合により平成27年度では、1回のみの実施に終わった。
|
今後の研究の推進方策 |
淀藩士上月家文書の調査は順調に進んでおり、平成28年度前半で全史料の仮目録作成、その後分類整理作業をすすめ、平成29年度に報告書刊行のための原稿作成をおこなう。 京都府立総合資料館所蔵の史料については、資料館の閲覧制限が解除されない限り新規調査は困難と考えられるが、出来る限り交渉し平成28年度中に調査を実施したい。竹林家文書については、5~6月に残る全史料(約300)の調査について所蔵者の了解を得た。 6月には、連携研究者・研究協力者との共同研究会を実施し、調査で得られた史料情報を共有し、報告書作成にむけての打ち合わせを3回程度おこないたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画において予定していた京都府立総合資料館所蔵史料の調査が、資料館での閲覧業務が予想外に制限されたため、未使用となっていること、その代替として新規追加調査をおこなった竹林家文書については、所蔵者との調査撮影日程の調整が平成27年度内にできなかったため、平成28年度の6月実施に延期したことが主な原因である。
|
次年度使用額の使用計画 |
竹林家文書の調査撮影は、6月実施が確定しており、京都府立総合資料館所蔵資料についても、交渉をかさねて実施していく計画である。また、上月家文書をはじめ調査収集した史料の分類・整理を効率的にすすめるため、ノートパソコンの増設をはかり、平成28年度中に所期の目標の完遂を図る予定である。
|