研究課題/領域番号 |
26370806
|
研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
有坂 道子 京都橘大学, 文学部, 准教授 (30303796)
|
研究分担者 |
青木 歳幸 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 特命研究員 (60444866)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 江戸期医学 / 医家書簡 / ネットワーク / 蘭医学 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究計画に基づき8月・12月・3月に2日間ずつキャンパスプラザ京都において研究会を開催し、当該研究の第一目的である小石家の医家書簡の解読を進めた。研究会ではメンバーの分担による書簡の精読と内容分析をおこない、差出人の医家の経歴、小石家との交流関係、書かれた内容の事実確認、江戸時代中後期の医学界の状況などについて細かく検討した。その結果、医家の経歴の欠を補う情報や、医家のネットワークの実態、種痘導入前後の状況、医家を取り巻く当時の環境、蘭医学界の動向などについて新たな知見を得ることが出来た。 6月には、成果公開に向けた書簡史料の撮影をおこなったが、その際の再点検により従来認知されていなかった新書簡1点の存在を確認した。また、書簡の端書きや書簡裏面の書き込み等の新たな情報も把握した。 さらに、これまでの研究活動を通じ小石家と深く関わるネットワークのひとつとして見えてきた福岡藩の知識人について情報を得るため、1月に調査旅行を計画し、メンバー各自が調査にあわせたテーマによる研究発表をおこなうとともに現地調査を実施した。福岡藩における江戸期の医学の展開については現地で初めて得られた情報も多く、当該研究がめざす京都以西の医学界の位置づけに生かせる成果があった。 本年度は、研究成果の一部を「究理堂書簡に見る蘭学者交流の諸相-坪井信良の同姓をめぐって-」、「小石家の医学と文学」などにまとめ発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の通り、当初に掲げた5点の研究計画・方法に沿って、おおむね順調に進んでいる。 ①「研究会の開催」は計画通り年3回実施、②「史料集刊行準備」は、上記研究会の成果をふまえて草稿執筆を開始、③「史料調査」は、計画通り福岡にて実施、④「資料収集」は、研究に必要な資料を計画の配分額内で収集、⑤「研究発表」は、別記の通りメンバー各自が論文・学会発表等の形で公表
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、平成27年度以降以下の点を押さえて研究の進展を図る。 ①年3回の研究会を開催し、書簡の精読と検討を進める、②史料集の刊行準備として原稿の取りまとめをおこなう、③福岡藩とともに重要調査地と位置づけている五島藩への現地調査を実施し、成果を研究に反映させる、④研究の進展に必要な資料を収集する、⑤研究成果の公開として、論文・口頭発表などを積極的におこなう。 上記の計画をもって当該研究を着実に推進していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に予定している成果物の出版費用が配分予定額を超過する可能性があるため、資料整理のアルバイト雇用を予定していた支出を抑制したことによる。
|
次年度使用額の使用計画 |
費目全体の支出バランスを考慮しつつ、年度ごとの適切な予算執行を目指しており、当初予定との差額は次年度以降必要となる費目において支出する。
|