本年度は、本科研の研究成果の取りまとめを進めるため、5月・7月・9月に2日間ずつキャンパスプラザ京都において研究会を実施し、未検討の書簡を集中的に精読し、全88通の医家書簡の解読を終了した。あわせて、各書簡の本文データおよび語句註の確認作業を進めた。 また、これまでの研究過程で小石家と九州の文人・知識人との深い結びつきが明らかになってきたが、大分については未調査地であったため、12月に調査旅行を計画した。今回の史料調査により、当該地域と京坂の医学界との結びつきの強さを改めて確認することができ、さらに今後の研究展開につながる多くの示唆を受け、有益な収穫を得た。 本年度は、研究で得られた成果をメンバー各人が論文・報告等のかたちで公表するとともに、本科研全体のまとめとして研究成果報告書「小石家書簡にみる江戸期医学と知識人ネットワークの基礎的研究」を作成した。本冊には、研究活動の報告、解読した全88通の書簡釈文と語句註、および解説を収録した。本科研では、小石究理堂が所蔵する医家書簡に記載された事実の徹底的な読解をおこなうことができ、とりわけ作成年代については精緻な確定作業を進めることができた。 科研を終了するにあたり、3月に研究会をもち、これまでの活動総括と今後の課題、研究の進め方について検討・議論した。なお、本科研の総括としてメンバー各人が執筆した研究成果は、平成29年度に発表する予定である。
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