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2014 年度 実施状況報告書

自然災害の記録化と伝承・信仰に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370813
研究機関山梨県立博物館

研究代表者

西川 広平  山梨県立博物館, その他部局等, その他 (60574150)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード災害史 / 噴火 / 雪崩 / 富士山 / 宝永噴火
研究実績の概要

本研究は、前近代における自然災害の発生とそれへの対応に際して、当時の社会が、どのように災害を記録し、または伝承や信仰の中に災害の影響を反映してきたのかを、古代・中世から近世にかけて甲斐国で発生した噴火・土石流災害・水害を中心に考察することを目的とする。
平成26年度は、①富士山宝永噴火に関する古文書・記録類の調査、②雪代災害に関する史料の所在確認を中心に調査を実施した。
調査は、8、9月に国立公文書館及び静岡県歴史文化情報センターにおいて、収蔵資料及びデータを対象に内容の確認や撮影を行った。特に、国立公文書館所蔵内閣文庫の「天保雑記」には、江戸幕府に報告された天保5年(1834)4月14日に富士山西麓・北麓で発生した雪代(雪崩災害)の被害状況が記されており、地域に残る古文書などと比較することによって、災害状況がどのように伝達されたのかを知ることができる資料であることが判明した。また、静岡県歴史文化情報センターでは、宝永4年(1707)11月に発生した宝永噴火の様子を描いた複数の絵図の画像データ等を確認するとともに、それぞれの絵図の伝来先が所蔵している噴火関係の古文書の内容を確認することができた。
さらに実物等の調査に加えて、東京都立中央図書館に架蔵されている各都県の自治体史を対象に、富士山の宝永噴火に関する古文書や古記録の記述を抽出し、それをデータ入力した。このうち、平成26年度は神奈川県史をはじめとする神奈川県内の各市町村史を悉皆で確認し、宝永噴火直後の降灰の状況や災害救助への対応、また、その後約半世紀間にわたり繰り返された洪水被害などに関する古文書の内容を整理した。この作業によって、今後、江戸時代における災害に関する記録の種類や残存状況を把握できると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度は、当初計画していた調査項目のうち、特に中心的・優先的に位置付けていた富士山の噴火や雪崩災害に関する実物資料の確認・調査や各自治体史に収録された古文書・古記録の所在状況の把握を積極的に実施できた。この度把握できた史料の情報をもとに、次年度以降の調査・研究の進展が期待される。
また、甲府盆地を流れる釜無川や笛吹川流域の水害に関する古文書・記録類については、これまで実施してきた山梨県立博物館共同調査・研究や科研費若手研究の調査データをふまえて、その所在を把握することができた。
さらに、甲府盆地の水害に関する民俗行事・信仰や、中世段階で富士信仰の伝播が指摘されている赤城山(群馬県)の信仰については、各自治体史・報告書などをとおした先行研究や資料内容の確認を行った。

今後の研究の推進方策

平成26年度の調査・研究成果をふまえて、平成27年度は、富士山の宝永噴火に関する史料について、山梨・静岡両県に伝来する史料の収蔵状況を確認するとともに、その伝来過程を考察したい。また、大和郡山市教育委員会所蔵「豊田家史料」のほか、伊能景利採取火山灰標本(伊能忠敬記念館蔵)にも当時の記録が記載されていることを確認したので、それらを調査し、災害情報がどのように伝播していったのかを考察したい。
また、宝永噴火に関する史料を自治体史から抽出する作業については、東京都・埼玉県内の自治体史を対象に継続して取り組むことを検討している。
さらに、雪代災害に関する史料については、平成26年度に内容を確認した国立公文書館所蔵内閣文庫の「天保雑記」と地域に伝来する関連史料との記述内容の比較を行うことにより、災害情報の伝来状況を考察することを予定している。
その他、他地域で起きた噴火災害に関する史料との比較については、平成26年度に文献で確認した赤城山における富士山信仰や浅間山(長野県・群馬県)の天明3年(1783)における噴火に関する史料などの調査を実施することを検討している。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度は、史料の所在確認が作業の中心となり、調査にかかる旅費・人件費・複写に要する経費を支出した。当初購入を予定していた大型スキャナー等を必要とする作業は、次年度以降に実施する予定であるため、より品質の良い製品の販売開始を待ち購入することとし、必要となる経費を繰り越すことになった。

次年度使用額の使用計画

平成27年度には、調査・研究にともなう作業の進捗状況に合わせて大型スキャナー等の機材を購入し、調査に要する旅費・人件費等と合わせて支出処理を執行できるように対応する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 世界遺産「富士山」の価値について―自然と人との関わりの歴史―2014

    • 著者名/発表者名
      西川広平
    • 学会等名
      山梨県生涯学習推進センター「富士山と環境保全」講座
    • 発表場所
      山梨県生涯学習推進センター
    • 年月日
      2014-09-06 – 2014-09-06
    • 招待講演
  • [学会発表] 中近世移行期の山地をめぐる村の由緒2014

    • 著者名/発表者名
      西川広平
    • 学会等名
      中央史学会
    • 発表場所
      中央大学
    • 年月日
      2014-07-05 – 2014-07-05
  • [備考] 山梨県立博物館ホームページ 活動紹介サイト・研究情報欄

    • URL

      http://www.museum.pref.yamanashi.jp/2nd_news.htm

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公開日: 2016-05-27  

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